こまばへの道


制服向上委員会に出逢って…

 私はアイドルの類は嫌いだった。もっとも、昔は… の話ですが。今では逆に、毎月こまばエミナースへと足を運ぶようになってしまった。

 学生時代は陸上部に入っていて、その頃は、吐くまで走ったり、500円玉大のマメが足の裏にできたり、捻挫して足首が倍くらいに腫れ上がったりと、楽しい(!?)高校生活を送っていました。いわゆる、体育会系ってやつですか。そんなもんで、毎日グラウンドを走り回っているのが楽しかったから、アイドルとかそんなのには興味がなかったし、むしろジャマな存在のように思っていた。まして、途中からは、交通事故で足を壊してしまい、走ってもロクな記録を残せない陸上部員という、なんとも居場所のない存在を2年も続けていたので、なかなかチャラチャラ・ヘラヘラしたものに馴染めないでいたのです。足が動かないのに陸上競技なんてものをやろうとすれば、半端な根性では駄目なわけで。そのせいで、同年代の若者とは話が合わず、なぜなのか、戦争を経験したような世代の方に気に入られてしまう、困った奴なのであります。

 その後、就職はしたものの1年程で辞め、その繰り返しが何度か続いていた、ちょうどそんな時に、制服向上委員会(以下、SKi)に出逢ったのです。無料のイベントだったので、何気に観ていたのですが、正直言ってヤバイものを見てしまったと思った。アイドルとかそういったものは否定的だった私なのだが、不覚にもそれを良いと思ってしまった。

 それで、二択を迫られることになる。イベントの途中で、何も見なかったことにして逃げ出すか。それとも、今までの考えを捨てて、最後まで見ていくか。どっちにしても、私のプライドはズタズタである。その頃の私は、硬派というか、頑固者というか、まるで《巨人の星》の星 一徹のような人で、本当にちゃぶ台をひっくり返したこともある。さぁ、そんな私が、その時どちらを選んだか? 相変わらず、《巨人の星》や《あしたのジョー》みたいな、自分の道を突き進むストイックな生き方を貫いたか。はたまた、今まで自分が嫌っていた、怪しげなエールを送る その一団に加わったのか。ふたつにひとつ、その答えは、今こうしてこの原稿を書いていることからも解るだろう。

 「昔と変わったね」と、高校時代の友人に言われたことがある。だが自分では、昔と何も変わっていないと感じている。確かに、私にとってSKiとの出逢いが大きなターニングポイントになったことは事実だが、本質的には未だに体育会系のままである。今にして思えば、SKiは陸上部時代の自分と重なる部分が多いように思われる。実際、SKiの曲を振り付きで歌おうとすると、ものスゲー難しくて、俺には無理だった。私が高校で陸上の練習に費やしていた時間は、一日に2時間から3時間。たぶん、SKiメンバーの練習量は、それを上回るのではなかろうか? とすれば頭が下がる。そして、みなさん周知のとおり、SKiのメンバーはよく辞める。他にも何やらゴタゴタやってるし、とくに私がSKiに出逢った頃というと、1期生が中心で、やっと2期生が出始めたくらいの時だったので、なおさらそう感じたのかも知れない。今どき流行らない根性の世界と、華やかなSKiのステージは、まるで繋がらないように見えるが、私にはそれが同じことのように思えてならない。だとすれば、私は彼女たちを応援しないわけにはいかないのである。

 「あの頃は、俺も若かったよ。自分の世界を追い続けることに手一杯で、自分の周囲にこれだけ素晴らしい世界が展開されているのに、それに目を向けようとしなかったとは、俺も所詮 井の中の蛙よ。」などと言って、高校時代の友人を困惑させて楽しんでいる。よく、もと陸上部だったとか話すと、「あんな走ってるだけのスポーツの、どこが楽しいの?」とか聞かれる。昔は、「走った奴にしか、わからん。」と答えていたが、今はもう少し別の答えを用意している。それは、「制服向上委員会のメンバーが歌を歌うのと、同じ理由だ。」というものである。それに関しては、比格神話学者のジョーゼフ・キャンベルの言葉がわかりやすいので、それを引用すると、

「人々はよく、我々は生きることの意味を探しているのだと言いますが、人間がほんとうに探しているのは、たぶん生命の意味ではありません。人間がほんとうに求めているのは“今、生きているという経験”だと思います。純粋に物理的な次元における生活体験が、自己の最も内面的な存在、ないしは実体に共鳴して得られる、生きている無上の喜び、それを実感することを求めているのです。」

 このへんの感覚は、SKiのコンサートに来て、寿隊と一緒に踊ったり、『エピローグ 〜終章〜』を一緒に歌ったりしたことのある人には、多分わかってもらえるのではないでしょうか。再びキャンベルの言葉を借りると、

「私たちは、外にある目標に向かって、あれこれやり過ぎるのに慣れてしまっているから、自分の内側にある価値を忘れてしまう。“今、生きている喜び”嬉しいとか楽しいといった実感に結びついた、無上の喜びを忘れている。それこそ、人生で最も大切なものなのに…。」と。

[群馬県/知恵之輪士]


 はみだしKS3   ざんげ・その(3)

 5月5日(日)の夜、なみちょんを見ないで、 鶴見の Club T-TOP'Sであった《ワクワクアイドルライヴ》に、(葉山)奈美chanを見に行ったのは、私です…。

[しろくま]


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