〈こちら新宿3丁目〉 vol.9 コンサートレポート ◆ コンサート レポート ◆

第74回制服の日
 第2回 新・御三家コンサート

  at.こまばエミナース  1996/ 7/14(Sun) 12:00-


 前回の《新・御三家コンサート》は、一昨年の10月10日に〔なかのZEROホール〕で行われた。出演は、ミッシェル,寿隊,4人1組。まだ、寿隊がブレイクしてなかった頃と言えよう。今回は、ミッシェルが解散してしまったため、静寂向上委員会が出ている。

 幕が開くと、各ユニットのリーダー3人で『青春ラプソディ』を歌う。そして、出演の順番を決めるためのジャンケン。最初から決まっているんだろうに(笑)。

 最初は[4人1組]。ウェスタン調の赤いテンガロン・ハットにブーツ、というのが特徴。これは、好みを分かつような気がする。日比谷で本格的に歌った絵美ちゃんも、徐々に慣れてきているのがよく分かる。ただ、『感謝のしるし』が歌われなかったのが残念。個人的には、4人1組の代表曲と思っているだけに。

 二番手は[静寂向上委員会]。もうおなじみになった、青いベストにフレア・スカート。いきなり、『今日の日はさようなら』を歌いだすので、不思議な気分だ。『女の子が男の子を呼び捨てにするとき』『燃えない心』『愛は蒼く』という流れは、静寂向上委員会ならではの雰囲気を満喫できる。特に、『愛は蒼く』の間奏の振りつけは、音楽とともに、簡素な美しさをたたえている。そういえば、オケがフェイド・アウトしないバージョンに戻っていた。残念ながら、ユニットとしての新曲はなかったが、みーつー作詞・ソロの『もう一度』という曲が発表された。

 静寂が終わると、なぜか ソロコーナー。まずは、博子ちゃん自ら作詞した『私の幸せ』。緊張しているようだが、声の通りがあまりよくない。声質はとてもいいと思うので、ヴォーカル・バランスを少し変えてあげたら、良い結果が生まれそうな気がする。続いて、智子ちゃん。『オレンジ』『いつか輝く』を歌う。『オレンジ』は、まだ2度目にもかかわらず、完全に自分のものにしているようだ。とても生き生きと歌っていて、輝いていた。

 三番目のユニットは、寿隊。前日に引き続いての登場。黄色のシャツに、緑色のショート・パンツがポイント。まだ入ったばかりの新三期生・小野田亜美ちゃんが堂々と『小さい象』を歌っている。ゆっきぃのヴォーカルは 安定していて、また本人がとても楽しそうなところがいい。ストレート・ロングの髪を振り乱して踊る、直美ちゃんも素晴らしい。かつての寿隊の面影はないが、自ら楽しみを見つけるところがSKiなのだと、つくづく思わされた。

 だが、4人1組にしろ 寿隊にしろ、衣装が“制服”とはかけ離れたものになってきている。それだけに、静寂が ますますSKiの、昔の部分を受け継いでいると思えるのだ。いや、楽曲や振りを含めた総合的な面で…。決して、後ろ向きとか保守的という意味ではない。他のアイドルが、あまりやらないようなことを積極的に取り入れてきたのが、[制服向上委員会] ではなかったのだろうか?

 さて、アンコールは『小さな生命』『うたかたの夢』『傷だらけの青春』と、智子ちゃんの曲が続く。私にはまるで、《新・御三家+篠原智子コンサート》に思えてしまった。

 最後は全員で、『星かげさやかに』を歌う(前回の時は、『見上げてごらん夜の星を』だった)。私は、いつも『終章』で終わるパターンがあまり好きではないので、実にさわやかに感じた。心がおだやかになって、幕を閉じるというのもいいものだ。

[論説委員■夢野 雫]


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