こまばへの道


 渋谷から、井の頭線で2つめの駅を下車。下北沢寄りの改札を出て左側へ。左斜め前の道に入り、突き当たったら右折後ひたすら直進…。

こんなコンサート、来るんじゃぁなかった…。

 2年ぐらい前だろうか。卒業したはずの、“アイドル”に興味を持ってしまい、他のアイドルのコンサートやイベントにも、足を運ぶようになっていた。1年前の7月8日、初めてSKiのコンサート《寿十八番勝負!》を観る。まだその頃は、SKiなんてほとんど知らず、吉成さんと菜々ちゃんぐらいしか識別出来ていなかった。「SKiというアイドルがいることを知っておいても、(得はなくても)損はないだろう。」とそそのかされ、“冥土の土産(笑)”という軽い感じで見に行った。もうそろそろ、開演が近づいていると思われるが、客は全く席に着こうとしない。場内が暗くなり、幕が上がる。曲が流れ始め、メンバーが歌いながら踊っている。が、後ろが騒がしい。「なんだ、こいつらは!!」ステージ上のメンバーに合わせて、一緒に踊っているではないか。目の前の光景が信じられなかった。次々とメンバーが歌う中、「この娘可愛い(^^)」と思いながら、みーちゅぅ[松本美雪ちゃん]をチェック(笑)。相変わらず、踊り続ける客。寿隊の曲なんて、1曲も知らないで行ったけど、アンコールにもなると、立ち上がって体でリズムを取っていたように思う。絶妙なタイミングで入る 客からの声援・客同志でのやり取り・楽しそうに踊る方々・不思議な空気に包まれた異次元の会場・不思議なほどの一体感…。
松本美雪
 コンサートが終わって、最初に出た言葉。
 「こんなコンサート、来るんじゃぁなかった。」
 間違っても、「金を払って見るようなモノじゃない!」って意味ではない。行間を読んで欲しい(笑)。
 「こんな(に楽しい)コンサート、来るんじゃぁなかった(絶対ハマってしまうよ)。」 略さずに書けば、こんな感じだろうか。コンサートって こんなに楽しいものだったのか? 元々「一体化して楽しむ」事が好きだった私にとって、このコンサートは忘れられないものになった。客の事ばかり書いてるけど、客目当てだと思われても困るので(笑)。

 私の目に映った[制服向上委員会]は、メンバには申し訳ないが、素人が背伸びしているようにしか見えなかった。確かに一般の娘に比べると可愛いと思う。歌も上手いと思う。だが、「芸能人:アイドル」と言う枠にはおさまっていないように感じた。酷い言い方かも知れないけど「コンサート」ではなく「学芸会」ではなかろうかと。しかし、そういった所が 逆に[制服向上委員会]の魅力なのかも知れない。アイドルとファンとの境界線が限りなく近い。いま思えば「我が娘を見守る親の気持ち」というのが、わかるような気がする。ステージの上で振りを間違ったり、MCのセリフを忘れたり、そういった 上手く言えないが「不完全なアイドル」というのが、ファンを引きつけるポイントなのかも知れない。世の中「娘(コ)ギャル」が氾濫し、女子高生という イメージは決して良くなかった。しかし、「清く正しく美しく」を掲げている彼女たち、まだまだ不完全な彼女たちは、少なくとも 私の目には清純に映った。

 そんな彼女たちと一緒に歌って踊ってしまえば、どんなに楽しいだろうか? そんな事を思いながら、〔こまばエミナース〕を後にした。まさか、1年後にこんなになってしまうとは(泣)。それが、知らなくてもいい世界への第1歩だった…。

 ハマったものは仕方ない。いろいろとデータを集めて、メンバの顔と名前を一致させるという、ありきたりの作業に入る(笑)。それが、まだ完全ではない時に、たまたま 某アイドルのコンサートでビラ配り隊に出会ってしまった。
 1人はみーちゅぅ[松本美雪ちゃん]だとわかるのだが、もう1人の名前が出てこない。ずっと久保愛だと思っていたが、後に本田博子と判明。何で間違えたのか? いま考えれば、似ても似つかない(笑)。そんな頃もあったかと思うと、なんだか微笑ましい(笑)。

 そして、メンバを一通り覚えると、1推しとか2推しとか、そういったものが出来てくる。最初は菜々ちゃんだったが、IJF 2あたりから、猛烈に久美ちゃんファンになっていた。3期生が出てこようとも見向きもせず(^_^;、ただただ 久美ちゃんのステージを待っていた。しかし、次に久美ちゃんを見たのは渋谷公会堂だった。久美ちゃんの卒業で「これで、SKiからも足が洗える」と思っていたけど、そうは問屋が卸さない。しっかりと、3期生が待っていた(爆笑)。これがグループアイドルの定めなんだろうか。次から次へとシフトしていく。一度ハマると抜けられない、蟻地獄状態(笑)。

 ステージで、おどおどしていた目当てのメンバが、堂々と歌い MCをこなし、大きくなっていく姿を見ていると、自分の事のように嬉しい。そんな気持ちを得るがために、こまばへ出向く回数は増えていった。

 しかし、諸事情で実家に帰ることになり、川崎から岡山へ引っ越した。
 聖地:こまばへの物理的な距離は、はるかに遠くなった。これで、「ついに、アイドルとは おさらば」かと思っていたが、気が付くと上京している。
 結果は、こんな原稿書いている事からも察しが付くでしょう。恐るべし3期生(笑)。

 SKiにハマって1年。あの時、今の自分が想像できただろうか?
 周りの知人は、みんな驚いている。私自身も驚いている。SKiのどこに、これだけ客を引きつける魅力があるのだろうか? いつもは笑って「裕紀子ちゃんがいるから(^^)」と答えるが(笑)、真面目に考えてみると どうだろう?
 今まで考えたこともない。いや、考えない方が良いのかもしれない。もしかしたら、ただ単にマヒしてるだけかも知れない(爆)。冗談はさておき、真面目に考えてみてもピン!とくるものが思い浮かばない。何も無いモノに魅かれる訳がない。何かがあるはずだ、何かが…。

 その「何か」を見つける為に、今日もまた、会場へ足を運ぶ。

[論説委員■まる井]

[写真は、1995年7月30日、名古屋で行われた、CBC(中部日本放送)『メディアキング・電波ファイター』の番組イベントに出演した時のものです。(撮影:夢野 雫)]


井上裕紀子
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