◆ イベント レポート ◆

 松田ゆかり First Solo Live

  at.渋谷・TAKE OFF 7  1996/10/10(Thu) 19:00-


 カレンダーを見ると、10月10日は赤い文字で書かれている。そうか、10月10日は、麗しの松田ゆかり君(ぎみ)のファースト・ソロライブ開催を記念して、祝日になったのか…(愚)。
 で、当日。会場に入ると、いゃ思ったよりも客が多い。なにせ、ソロライブな訳ですから、松田ゆかりファンが大勢集まるわけで、「本当に、客が集まるのだろうか?」なんて心配は、全く無用だった。
 チケット完売の超満員、こまばエミナースよりずっと狭い会場とはいえ、身動きが取れないほどである。

 ライブのほうは序盤、サイモン&ガーファンクルなどの洋楽をカバー。「英語で覚えきれない歌は、日本語に変えました」とは、なんとも彼女らしい…。
 続いて中盤は、オリジナル曲・ソロアルバム収録曲や、完全オリジナル曲などが披露されたが、中でも『低血圧のブルース』は秀逸で、低血圧で、朝起きたくても起きられない感覚を、前半のけだるげな歌い方で見事に表現している。
 ちなみに、低血圧の朝がどんなものかというと、「目の前においてあるコーヒーカップを、超能力を使って宙に浮かそうとする」のに似ていて、「動け、動け、動きやがれコノヤロー!」と思っても、手足はピクリとも動かないのである。脳のスイッチは入っているのに、身体のスイッチがOFFなので、どうしても動けない。でも、やる気だけはあるんだ。だから、みんな、低血圧の人が遅刻してきても、笑って許してあげようではないか(←自己弁護)。
 途中、「私たちは休憩します」と言って、楽屋に引っ込むゆかり(&バンド)。代わりに、井上裕紀子と斉藤美緒子が登場。ゆっきぃは、茶系のモノトーンでキメていて、非常に可愛かった。個人的に、茶色の似合う人が好きなので、ゆっきぃは5ポイント GETである。
 で、ゆっきぃはハーモニカ、斉藤さんはギターを弾きながら歌う。ゆっきぃのハーモニカは、技術的にはまだまだだが、結構イイ感じ。
 斉藤さんは、何をやらせても絵になる人で、ついでに失敗しても絵になるのは、やはりスゴイ。二人とも、歌はやはり上手く、あぁいったライブ・スペースで聴いても、聴き劣りすることはない。

 再び、松田ゆかりさんの登場。アルバム曲やSKiの曲を歌う。『ダイナマイト』は、アルバム・バージョンではなく、ちゃんとフル・コーラス歌っていた。実はこの曲、作詞は松田ゆかりさんなのだが、少し気になることがある。
 いま流行っている、FBI心理捜査官のプロ・ファイリングによると、「爆弾テロの犯人は、99%以上の確率で男だ。女の犯人には、一度も会ったことがない。」と、言っている。
 この『ダイナマイト』や、他の曲も含めて、とても女の子が書いた歌詞とは思えない。今回のライブで歌った曲も、本来なら男が歌うような楽曲を、苦もなさげに平然と歌っている。たまに、SKiでやる劇でも、松田ゆかりさんは必ずと言ってもいいほど、男役を演じている。だが、それが似合っているにもかかわらず、松田ゆかりは全然男に見えないから不思議だ。たとえ、松田ゆかりを知らない人が、殿様や忍者を(演じているときに)見ても、男だと思う奴は居ないだろう。
 うぅむ、松田ゆかりは奥が深い。個人的に、奥の深い人も大好きなので、松田ゆかりさんの評価は、さらに10000 ポイントほどUPした(^^;;;。

 この日は、ロック系の曲が多かったが、私の考える、ロックン・ローラーに必要な素質は、“不器用さ”で、「何かひとつ出来ないものがある人、あるいは、何かひとつ以外は何も出来ない人」というのは、ロッカーになる素質がある。
 「ロックとは、魂の叫び声だ。閉じ込められた魂が、殻を破って外へ飛び出そうとする爆発力だ。不器用な人間は、何かをしようとしても、それが出来ない。だから魂は、肉体の中でいつもくすぶっている。それが、表へと解き放されたとき、その爆発力が、ロックに生命を与えるのだ。」 だから、器用過ぎる人には、ロックは出来ない。なぜなら、いつも心が解放されているからだ…。ロックン・ロールは、ガソリン・エンジンと同じで、一度圧縮してから爆発させるのである。
 松田ゆかりは、知っての通り、(人と)話すのが下手だ。7月の箱根バスツァーでのバスガイドぶりを見れば、話すのが嫌いという訳ではなさそうだし、話せないということでもない。ただ、自分の気持ちを相手に伝えるのが下手なだけだ。
 さっきも言ったとおり、彼女は男役が似合うのに、女の子らしい女の子であったり、その存在を一言で表すのは、とても難しい。そんな彼女の自己表現の手段としては、言語よりも、むしろ音楽のほうが向いているだろう。だから私は、[P-A-R]というロック・ユニットが出来ると聞いたとき、松田ゆかりさんが入っていれば面白いことになるぞ、と思っていたが、その後、謎のロッカー・[Yuck'er-Lee]として再び登場し、アルバム,ソロライブ、そして今度は佐々木忠平氏・ケニー井上氏と組んで、[DEAD FLOWER]なるバンドを結成するらしい…。大体、予想していたとおり面白いことになったが、面白すぎることになってしまい、逆にびっくりしている。

 きょうのライブで、松田ゆかりの基本スタイルが確立された感がある。今までは、SKiのメンバーとして、SKiの曲に彼女のほうが合わせていた訳だが、[Yuck'er-Lee]でSKiから一歩離れ、松田ゆかりの個性に合わせた曲作りが行われる中で、自分なりの歌い方というものが、彼女自身の中でかなり明確に把握できたのではないだろうか。
 アレンジや楽曲そのものも、普段のSKiのステージとは趣を異にしていたが、「松田ゆかりの新しい世界」というよりも、「“ゆかり節”への原点回帰」のように思われた。
 暗くて狭い、ここ〔TAKE OFF 7〕は、ある意味で松田ゆかりの出発点としてふさわしいように、私には 感じられた。

{松田ゆかりと共に歩む会・代表} 群馬県/知恵之輪士]



●ゆかりちゃんへのメッセージ

 ゆかりちゃん、10月10日のライブは最高でした。R&Bシンガーとしての新境地が開いたことを嬉しく思います。次は、ロイ・オービソンなんかを唄ってくれると、泣いて喜んじゃいます(笑)。
 でも、まだまだ制服も似合うので、SKiでも唄ってくださいね…。

[東京都/たみ]


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