Want You!
「また、逢う日まで…。」


 篠原智子  Tomoko Shinohara 


《篠原智子 −期待と不安と…−》

 しのも卒業するのか…。まあ主流から外れて、[しの]ボーカルの歌がなくなった時点で覚悟はしていましたけど。
 もともと、[しの]が好きでSKiにハマった訳ですし、ソロとして活動するこれからも、しの中心で動くことは変わりません。
篠原智子  思い出というと…、いろいろあるけど。95年8月の大阪で、最初に歌った『小さな生命』が最初に浮かびました。[しの]のかわいい振り付けと歌は、ものすごいインパクトがありました。最初は苦労してたみたいだけど、今はもう完全にマスターしたようです。何より、[しの]の最初のオリジナル曲ですし、今後も歌ってくれることでしょう。
 あとは、96年4月27日の例の脱走事件(横浜)から、29日のヤマギワ(秋葉原)のイベントの間かなぁ。あの間、ずっと[しの]のことばかり考えていました。「これからどうなるんだろう…」という不安ばかりでしたが、いままでのことを振り返られる貴重な時間だったと思うのです。ヤマギワのイベントの時は、『ダンシング・セブンティーン』を最初で最後のセンターボーカルで歌ってくれました。
 それと、6月の撮影会。初めて、まともに[しの]を撮れたことがとてもうれしかったですね。静寂の制服姿でピストルを撃つしぐさが、とても可愛いかった。

 これからソロになって、ファンクラブもできるのですが、[しの]と同じように、私も不安です。果たして、本当にうまくやっていけるのか、まともに活動してくれるのか…。
 でも、時計はもう動き始めているわけだし、今後に期待するしかないですね。
 3月9日のソロ・コンサートが、楽しみです。

 これからもずーっと応援してますから、ひとりになってもがんばってね!

[文:東京都/ホーカー・テンペスト, 写真:夢野 雫]



《ふたり》

 私が、SKiのコンサートへ行くようになって、2年半になる。最初は、ビデオ〈ライブアイドルNo.1〉に収録されている、《真夏の祭典・3時間特大ライブ》。入会して半年以上経つのに、まだ智子ちゃんの出番は少なかった。まして、二期生がソロで歌うことなどありえなかった。今の三期生だったら、考えられないだろう。そんな頃だったのだ…。
 でも、智子ちゃんにはどこか強くひかれるものを感じていた。

 翌月、新二期生が入会。一期生でさえ、まだしっかり把握できていないというのに、新メンバーへの興味など沸くはずがない(笑)。ようやく半年近くたってから、美雪ちゃんの魅力に気づく。しかし、後にこの二人が結びついていくなど、当時は思いもしなかった。
 夏になると、智子ちゃんのソロ曲『小さな生命(いのち)』が発表され、客席も大いに沸いた。秋には『うたかたの夢』も。着実にステップアップし、二期生の出番も徐々に増えつつあった。

松本美雪  年が明け、卒業式が終わり、3月には《新・静寂向上委員会デビュー・コンサート》。ここで、初めて二人のデュエットが実現したのである。『なかよし』そして、もうずいぶん前から練習していたという、『恋はハイウェイドライブ』。前者は、それまでにもいくつかのなかよしコンビによって歌われてきた曲である。智子ちゃんと美雪ちゃん、二人のお互いを見るまなざし、表情、全てをつつみこむような雰囲気。その場にいるだけで、また空気を感じるだけで、私は心地よかった。本当のなかよしでなければ、こうはならない。

 この日の夜の《春休みだよ全員集合!》では、二人で『蒼い天使の糸』を歌った。二期生のメンバーを歌詞に織り込み、青いリボン(?)まで登場。“絆”の象徴とでもいうのだろうか。
 5月の《青春桜花SHOW》、二人だけのための〈青春きらきら短大コーナー〉。やはり『なかよし』が歌われた。ピンクの制服が、とても良く似合っていたことを思い出す。
 《子供の日》には、後にアルバム曲にもなる《傷だらけの青春》が発表される。まさに、SKiのメインメンバーが出る曲なのだ。智子ちゃんも美雪ちゃんも、「いよいよ」だなと思った。

 ところが、その後に二人で歌うことは極めて少なかった。もちろん、それまで通り仲のよい二人ではあったのだけど。また、8月のワーストツアーにも出ていない。何かが変わってきたのだ。SKiの中で…。

 10月の野音、涙の美雪ちゃん。一方で、智子ちゃんはソロがやたら多かった。とうとう、《傷だらけの青春》からは二人とも外れてしまった。
 さらに《演劇歌謡祭》では、再び、美雪ちゃんの涙が…。この日、最新のP会報にも書かれている“2つの風船”の話が生まれたのである。一度読んだ方も、FCに入っていなくて読んでいない方のためにも、美雪ちゃんのメッセージから引用しておこう。

『私にとって、しのとの一番大切な思い出は、11月の最後のステージの日のことです。 6時間ぐらい、ヒマな時間があったので、セリフの掛け合いをしたり、ショッピングをしていました。その時に風船をもらったんですけど、その風船が私にとって他の何よりも大切な宝物でした。
 なぜなら、これからも2人はずーっと友達という意味で2つの風船を1つにして飛ばして、見えなくなるまでそこから動こうとはしませんでした。』
 涙がこみ上げてきた。まるで物語のようだ。現実にある話とは思えないぐらいに…。
 これからは、いつものように(c)会うことはなくなってしまう。しかし、SKiから離れても友情は変わらない。二人の心は一つになり、それを風船に託したのだ。無意識にも、「卒業」と重ね合わせていたのだろうか。
 もし、二人が同時に辞めるようなことがなければ、この話が語られることもなかったのかもしれない。「悲しみ」は、見事に「美」として昇華されていった。でも、決して作られたものではない。「風船」を手にしなければ、生まれなかったことだ。が、その偶然こそ“友情の産物”と信じたい。

 しっかり者と思われる美雪ちゃんも、

   『何かやっぱりねぇ、あたしに必要な存在なんですよ。
    いなくなったら、もうやっていけないっていうか…。』

(<ORANGE IDOL>8号 P.51より)

と、意外に弱気なことを言っている。智子ちゃんはみなさんご存じの通り(苦笑)、とてもナイーブな心の持ち主だ。お互い 補完しあって生きていくこと、そんなところで二人の幸せな関係が築かれていったのではないだろうか。

風鈴  私の手元には、[松本美雪],[篠原智子] 二人のサインが入っている「風鈴」がある。「〈ORANGE IDOL〉」のプレゼントで当選したものだ。2つの風船は1つになり、飛び立っていったが、ここでは永遠に二人は一緒である。SKiでは、どちらか一方が欠けても成り立たなくなってしまう。私にはいつの間にかそんな存在となっていた。制服向上委員会を通じてこのような美しいものに出会うことができ、とても幸せだったと思う。

 智子ちゃん、美雪ちゃん、今までありがとう。そして、これからもずっといい友だちでいてください。いつまでも、ふたりのことは忘れません。

[文・写真とも:論説委員■夢野 雫]



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