● 表紙のあのコ ●

内田絵美
内田絵美{うちだ えみ, 新三期生}


 1980年10月3日生まれの、高校二年生。
 初めて彼女を見た時、「きっと、しつけのキチンとした、厳しい家庭で育てられてきた娘なのだろう」と思った。受け答えがしっかりしている上に、人の目を真っすぐ見つめて話す。当たり前のことのようでも、今の時代それができる娘は極めてまれでしかないのだ。
 本人に尋ねてみたところ、やはり「お父さんもお母さんも、すごく厳しいです」という答えが返ってきた。ついでに「学校は?」と聞くと、これも「すごく厳しいです」と言った。
 そんな彼女の生い立ちは表情にも反映されているかのようだ。少しきつめのキリッとした目つきと、いつもギュッと固く結ばれた口。感情を抑え気味にした笑顔…。“死んだ魚みたいな目をして口を半開きにしながら、だらしなく笑う 女子高生”がウジャウジャいる世の中にあっては、これも貴重なことだ。

 彼女は、今の女の子たちの多くが既に失ってしまった“良さ”を持っている。そしておそらく、彼女自身はそのことをあまり自覚していないのだろう。でも、それでいいのだと思う。
 “変に意識しない自然体” それこそが、彼女の最大の魅力なのだから…。

[東京都/桂木 明]


97年8月号目次