《[藍田真潮]の想いは永遠に》
「藍田真潮」。
これをお読みのSKiファン・メンバーの中で、この名前を正確に読める方は、何人くらいいるのだろうか?
SKi初期のメンバー・藍田真潮(あいだ ましお)。発足当時、素人集団であったSKiの指導役として、1992年末に入会。初めから「契約期間は1年」と決まっていたため、94年2月には前田厚子{現:木地谷厚子}とともに卒業している。結果、SKi在籍1年強という本当に短い期間であったが、真潮は今でもSKi一推しとして、私の心の中に深く位置している。なぜなら…。
真潮の。“素人集団の指導役”という立場は適役であった。初期のSKiにおいて、真潮は“プロの芸能人”として活躍してくれた。どんなに小さいステージでも気を抜かずに頑張り、いつもこぼれるような笑顔で握手のときもギュッと力一杯、ファンサービスは抜群であった。
パッと見は「背の小さい、本当にかわいい女の子」というイメージなのに、実は“仕切りまくり”の娘であった。これが鼻につくファンの方もいたようだが、素人集団にある程度【プロ意識】を持たせたことは間違いないだろう。また、※1ファンに見えない練習の場でも、本当に真剣に取り組んでいたようである。
しかし、そんな真潮にも卒業の時が訪れる。涙ながらに彼女が語った言葉を記してみたい。
「昨日ずっと、今日みなさんの前で何を言うか決めてたんですけど、たくさん言いたいことがあって、辞める理由や今までの思い出やありがとうの気持ちを伝えたかったんですけど、今この場でファンのみなさんに伝えたいのは、入ってきた時に私はもう5年くらい一人で芸能界にいて、メンバーはみんな素人ですごいイライラしたりとか、当たり前のこととか全然知らなくてすごいイライラしたんですけど、入った時から 契約上のことで1年で終わると決まっていたんですけど、終わりが決まってても一生懸命頑張ったし、どうせ辞めちゃうから…って気持ちでやったことは一回もありません。
2回ぐらい前のファッションコンサートで、初めて歌を歌ってて、歌い終わった後にいつもは満足してたんですけど、初めて“悔しい”という気持ちを覚えました。向上委員会のみんなには、ステージが終わった後の悔しさってのがまだ分からないので、みんなにコンサートが終わって『やったね』じゃなくって。『失敗しちゃって悔しいね』とかそういう気持ちを持って頑張っていってもらいたいと思います。
いろいろ今まで辛いこともあったけど、今までやってこれたのは、やっぱりメンバーの励ましとファンの みなさんの支えや友達の応援とかがあったからだと思います。これからも一生懸命頑張って、制服向上委員会のみんながライバルになっちゃうのは悲しいですけど、頑張っていきたいと思います。本当にありがとうございました。」
今のSKiメンバーで、この言葉と向き合える方は何人くらいいるのだろう?
今のSKiのステージは。“常連客とのなれ合い”といっても過言ではないかもしれない。私は、このようなステージも楽しんでいるので、この状況を批判するつもりは無いが、余りに情けないものを見せられてしまうと、つい真潮の言葉が頭をよぎってしまいまう。
真潮の持っていた。【プロ意識】。これは、今のSKiに一番必要なものではないだろうか? やれ、「花見だ!ピクニックだ!」と、ファンと仲よくするのも大いに結構だが、やはり月1回のコンサートだけは、そうしたファンとの交流の延長ではなく。“お金を頂いて、見てもらっている”という自覚を持って、ステージに臨(のぞ)んでいただきたいと思います。
こんなことを勝手に言うと、「そんなことはない! コンサートは真剣にやっている!」と、反論されるだろう。実際、3月のコンサートはなかなかの充実ぶりであったし、メンバーの中には【プロ意識】を持った方も少なからず存在している。
しかし、そんなメンバーでも、振りや歌詞を間違えた時に笑ってごまかすことがあり、ファンもこれを大いに喜んだりする状況…。神田パンセホール公演での吉田未来のように、「今度は、絶対に絶対に間違えません!」なんてことを言ってほしいと思っているのは、ファンの中でも私だけなのだろうか?
[写真:東京都/佐藤 昇・文:東京都/匿名希望]
※1 コミティビデオ vol.0<海賊版>や、vol.9<素顔がスキッ!>などを見れば、よく分かる。特に<海賊版>では、余りの真面目さに「真潮、真剣(まじ)だなぁ」と、誰かが言ってるのが聞こえる。
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