ハッ!Train

今、[SKi-P] はどこへ…

 3月の横浜公演の時、ふと思ったことがありました。それは[SKi-P]の出演した、23日の昼公演《HELLOW×SKi-P×ワースト》のことです。いきなり、新曲2曲が発表されたのですが、これは「今のSKi-Pに合っているのかな?」と感じました。
 というのも、この曲(『It's so good』とかいうらしい)の斉藤美緒子ちゃんのボーカル部分を思い出すと、すっかり“大人の雰囲気”さえ感じたのを覚えています。詞の内容はハッキリ思い出せませんが、ど素人の私が聴いても、今までの曲とは明らかに曲調が違うのです。『理由なき反抗』や『夢はいつも』などは、詞の内容からしても10代半ばの少女のイメージがよく表現されていますが、今度の新曲は若干、いゃ… かなり違います。何というか、大人っぽい弾け方をしているように思えるのです。
 その一方、『私の事は放っておいて』などを聴くと、「いちいちうるさく言わないで」とか「何かを勉強してるから」と いうフレーズからは、まだ少女性がかなり残っているようにも感じられます。
 SKi-Pのメンバーも、あの※195年10月の衝撃的なデビュー以来1年半が経ち、それぞれの(精神的な部分を含めた)年齢も上がり、少女から大人の女性へと向かう階段を昇っていく中で、ダンスの大人っぽさと詞の内容の少女っぽさが入り乱れていたのではないかなと思いました。
 だから、この公演に登場した3つのユニットのうち、SKi-Pが一番ちぐはぐしていたように見えました。ファンさん(c)から「ミッシェル〜っ!(笑)」ってツッコまれるほど、大人っぽさが漂う全身黒ずくめの衣装と、この時歌われた『理由なき反抗』の間にはギャップを感じずにはいられません。「『理由〜』は、この衣装じゃない!」と…。
 表向きには無事にステージを終えたものの、私の心の中では「このままでは、名曲『理由〜』が生きてこない。懐メロ感覚で歌うのならともかく、バリバリの現役メンバーが歌うわけですから、それこそ田村千秋ちゃんがいたころのSKi-Pを偽善でもいいから見せてほしかった」という気持ちを抑えきれませんでした。無理な注文かもしれませんが、ひたすらカッコ良さを追求していたユニットだけに、少々残念に思いましたね。
 自分自身に対してもそうなのですが、SKiのメンバーやユニットには、いつも「初心を忘れずに」という気持ちを持ってもらいたいのです。初心を忘れ全く違う方向へ行ったり、暴走してしまい我を忘れてしまったりしてほしくないのです。また、そんな初心を忘れていないメンバーを見るたび、自らを戒めることができるのです。そこがSKiの良いところだと思いますし…。

 話を戻しましょう。それにしても、あの『理由なき反抗』が出たてのころの“エネルギッシュさ”が余り感じられなったこの公演を、メンバー自身はどう受け止めているのでしょうか? 少なくとも一人は、こういう風に受け止めた人間がいるのですから。
 とは言っても、裕紀子ちゃんや美緒子ちゃんは、今年19歳の短大生と社会人ですから、いつまでも「少女のころの無敵さ」を追求するのは、冷静な大人の判断ではないかもしれません。ただ、デビュー当時のインパクトが余りにも大きかったので、どうしても現在のSKi-Pと照らし合わせてしまうのです。
 決して、今のSKi-Pが悪いと言っているわけではありません。「♪ 誰にも迷惑掛けたりしてないから、真実一路のこだわりだけだよ〜」と声高々に熱唱していたあの時の輝きを、もっと別の形でもいいから見せてほしいなと、私は思います。

 今はただ、少女から大人の女性へと向かう過程を、長い目で見守っていこうと思います。あるいは、SKi-Pの現役メンバーが卒業した後、“少女の素晴らしい輝きを持つ”昔の焼き増しではない、新しいSKi-Pを見せてくれることを願っています。かつて、現役メンバーが見せてくれたように…。

<P.S.> なんだかんだ言ってても、SKi-Pはカッコ良かったです。ジャニーズみたいで…(笑)。新曲の『私の事は放っておいて』はリズム感が良く、ダンスもキレがあって素晴らしかったです。
 今、SKi-P人気はやや下降気味という感じですが、久々に彼女たちを見て「私はSKi-Pが好きだ」ということを改めて認識しました。これからも、この4人には頑張ってほしいものです。

[埼玉県/ミミへの夢追い人]

※1 《アイドル・ジャパン・フェスティバル2》のこと。「IJF2」と省略されることが多い。日比谷野外大音楽堂で、1995年10月28日と29日の2夜連続で開催された。


 ぐっでぃず   今週の[見たことあるゾ!]

日本商工殿堂  9月18日、中国の香港や上海で百貨店事業を展開している、静岡県が地盤のスーパーマーケット〔ヤオハン〕グループの中核会社、〔ヤオハン・ジャパン〕が静岡地方裁判所へ会社更生法の適用を申請し、事実上倒産した。
 バブル景気を追い風に、成長著しいアジア地域で大規模に流通事業を展開していたが、メインバンクを持たない代わりに資金調達を転換社債発行など資本市場に頼りすぎたことが、経営悪化の直接的原因と見られる。

 その2日後、取引業者などを集めての【債権者集会】が行われたが、それを報じるテレビニュースを見た途端、見覚えのある風景が目に入った。 太い字で「日…」と 書かれた、体育館のような建物…。
 すぐさま私は、押し入れの中から昨年夏の箱根FCツァーの写真を引っ張り出し、広げてみた。そこにはテレビで見たのと同じ、富士箱根ランドの体育館〔日本商工殿堂〕を写した写真があった。
 1年前“だめなひと”が隔離された同じ建物に、今度は「だめになった会社」の関係者が集まっているとは…。

[副編集長■しろくま☆しゃしょう]


97年9月号目次