水野あおいが歌う『うたかたの夢』や、篠原智子が歌う『恋のはじまり』なんて、変だとは思いませんか?
『うたかたの夢』で、篠原智子=写真=がソロで出てきた当時、そのビジュアル面の相似からか「水野あおいのコミティ版」なんて言われたりしました。
しかし率直に言わせてもらうと、私は、水野あおいと篠原智子とは【似て非なるもの】だと思っています。
一言で言うと、水野あおいは「かわいらしい歌しか歌わない歌い手」であり、篠原智子は「お友達感覚で付き合える、いつもステージに立っている可愛い娘」なんですね…。「背がちっちゃくて、かわいらしい」と言う点では共通項があるとは思いますが、「歌っている楽曲の世界」とか「彼女らのファンが求めているもの」「アイドルと言う存在にに対する、自己の考え方」。
そして何よりも、「スタッフのプロモーション方針」が、この二人には全くと言っていいほど相違しているのです。
そもそも水野あおいは、アイドル・ソングを歌いたいがために芸能界の扉をたたいた人で、「かわいい歌をみんなに歌って聞かせる」という活動が基本中の基本となっています(これは、アルテミス・プロモーションの基本方針でもあります)。FCイベントでの「ツアー」とか「写真撮影会」なんてのは、彼女にとってはあくまで従たる物なのです。
一方篠原智子は、SKiと同じく「生涯ライブ・アイドル」という路線を取っています(言うまでもなく、PTAコミティの基本方針です)。ライブ・アイドルに必要なのは「いつも来てくれるお客に対して、優しくサービスする」という精神であって、水野とは逆に「ツアー」「撮影会」などという活動が主となってくるのです。
ですから私は、この二人を総合的な面で比較するのは無理があると思います。例えるのならば、同じプロ・スポーツでも「ヤクルトスワローズと、鹿島アントラーズのどちらが良いのか」を比較するようなものでしょう。
現に、あおいファンで「篠原智子が好き」という人はほとんど見かけませんし{もっとも、あおいファンはアイドルに対し、極端にコンサバティブ(保守的)な人が多いのだが…}、一通りのアイドル事情を網羅している人が多い篠原智子党員でも、同時にあおいにハマっている人は少数派でしょう。
私としては、どちらの活動にもそれぞれ魅力がありますし、どっちがどうとも言えませんので「気に入った方を応援すれば良いのではないか」と、超・無難に意見をまとめようと思います(←何だ、そりゃ)。
ただ最後に、これだけは言わせてください。
「あなたたちは、ファンの皆さんからお金をいただいて活動しているのです。だからといって偉ぶるわけではないですが、我々に対してそれに見合った分の活動を胸を張って行なってください」と。
そうしたライブ・アイドル(=芸能プロダクション)こそが、この先の時代に生き残っていくことができるのですから…。
<P.S.>やっぱり、アイドル“歌手”っていうのは「歌ってなんぼ」やと思うなぁ、私は…。
[文:大阪府/Be-Wave]
[カメラ:夢野 雫]
# 文中、敬称略で書かせていただきました。
[ 97年11月号目次 ]