last update:1999/12/08
◆コンサート・レポート◆
'99ベトナム・レポート
at 北沢タウンホール 1999/ 7/24(SAT) 16:00〜
7月24日。すっかり真夏日となった東京・下北沢の街に私はいた。
昼過ぎに会場である『北沢タウンホール』に到着。さっそく今日の目玉イベントである『アワサッテル』を申し込む。
手続きを終えた後、イベント開始まで大分時間があるので、私は一人シモキタの街を歩いてみることにした。
気温34度の炎天下の中を(笑)。
いつも間にか私は、ライブハウス『CLUB251』の前に来ていた。
ここは、およそ一年九カ月前に、私が初めて三浦恵里子、そして寄合歩の二人と出会った場所である。
あの時は二人とも見ている私の方まで緊張しそうなほどコチコチの表情で、一生懸命に譜面台の歌詞カードを見ながら歌っていた。それが今や二人とも『制服向上委員会』になくてはならないメンバーだ。
川野朋美ヴォーカルの『ウェディングベル』を、初めて聴いたのもここだったなあ(1997/11号参照)。
「時の立つのは早いものだな…」。私はつくづく思った。
会場へ戻ってみると、すでにアワサッテル希望者は80人近くまで達していた。「開演までには、とてもじゃないけど間に合わないよ。終演後に続きをやるのかな」。ほとんどのファンさんはそう口にしていた。
ところが、始まってみると『アワサッテル』の写真撮影は次々と進んでいく。あっという間に私の番が来た。
私は昔から一推しの娘としかツーショット写真を撮らないことにしているので、一推しの寄合歩との写真を中野社長に撮ってもらう。あっと言う間もなくおしまい。あいさつもそこそこに撮影場所を離れた。
しかし、他のメンバーたちが、ツーショット写真を撮るところをぐるりと取り囲むのには参った(苦笑)。
別に、推しているメンバーが他の娘にバレてしまっても不都合はないが、やっぱり、こっ恥ずかしいじゃないか(笑)。
16:00過ぎ、『清く正しく美しく』で、この日のステージはスタート。続いて『笑顔がスキッ!』。
ここで橋本美香による最初のあいさつ。メンバー紹介の後“どうしてベトナムに行くことにしたのか”を発表。
『愛と勇気と思いやり』『少年よ大志を抱け』、川野MC、『ずっと忘れない』『声を聞いて』、秋山MC、『夏の思い出』(秋さんは『夏の日の思い出』と紹介)『浜辺の歌』、三浦MC、『あたしとわたし』『どうしてかな』と続く。
中井MCの後、『公開生徒総会』。テーマは“日本の若者はなぜ無関心でいられるのか”“群馬弁をはじめなぜものまねをするのか”。ひとことで言って面白くなかった。自己完結的なノリはヤメテくれよな>スタッフ。
寄合MCの後、このコンサートのメインイベント『ベトナムレポート展・発表コーナー』となった。
「クチトンネルの入り口の大きさは、A3大の紙ほどの小さなもので、KAOさんは通ることができたが、朋美ちゃんは通れなかった」と秋山文香。
みょ〜に納得する客席。「ここで“エーッ!”とか言うものじゃないですかぁ!?」と少怒する川野朋美(笑)。
どちらかというと、こういったイベントにありがちな深刻なムードではなく、むしろ「こんなことがありましたよぉー、こんなことを見てきましたよぉー」というノリであった。
その通り。こういうのは辛気くさいお涙頂戴のノリでやらない方がいい。客が引いてしまい、見てもらえなくなるからね。
平和村では、日本にいるときに教えてもらったベトナムの歌を披露したのだが、言葉の違い(ハノイの方とホーチミンの方では、同じベトナム語でも違っているようだ)で通じなかったそうだ。マス・メディアの発達により、全国的に画一的な文化が浸透している日本との違いに直面して、さぞメンバーたちは驚いたであろう。
この施設では、軽度の障害(これはベトナムでの基準であり、日本では重度の障害に相当する)を持った人たちが治療とリハビリを受けながら生活をしているそうだが、障害からの回復が見込めない重い障害を持った人たちは、こういった施設に入居することも叶わないそうだ。そして、ベトナム国内には『平和村』のような施設は、わずか7件しかないという。
21世紀を間もなく迎えようとする今でも、ベトナムで暮らす人たちに重くのしかかっている一つの現実を、私は知ることとなった。そして改めて『百聞は一見に如かず』ということわざは本当だなと思ったのである。
そのあと『ベトナムの子供たちを援助する会』のスライドによる講演があり、10分間の休憩。
久川・小田の「いってらっしゃーい!」の声に送られて、ファンさんたちが席を立つ。
コンサート再開を告げる久川・小田の第一声は「お帰りなさぁーい!」お見事(^^)。
最初にやるのは、ファンさんご期待『アオザイ五人娘』のコーナー。ベトナム帰りの五人による「誰でも“ナイスバデー”になれる」(橋本美香・談)、アオザイ姿でのステージだ!
五人のアオザイの色は、秋山・クリーム、川野・青、橋本・紫(ししゅう入り)、中井・赤、三浦・ピンクである。
『青い空の下で』(橋本)『明日を信じて』(三浦)『まだ見ぬ世界を信じて』(中井)『ウェディングベル』(川野)と各メンバーのソロが続く。
『明日〜』は、どうしても吉成圭子の影が三浦恵里子の声の裏にちらつく。声質が似通っている部分があるとは言え、この曲に関しては、どうしても吉成のコピーになってしまうだろうのか? うむむ…。
『まだ見ぬ〜』。中井祐子はとてもよくやっていると思う。だが、この曲は松田ゆかり以外には歌えないことを再確認する結果になってしまった。
松田ゆかりはもって生まれた声の質でこの曲を“演じていた”。それができる歌い手でないと、この曲を表現することはできない。そしてそれは、現在の中井祐子では難しいことだと思う。あまりにも偉大なる“ゆかり節”か。
中井祐子の歌声をよく聴くと、声がわずかにビブラートしていることが分かる。その特徴を十二分に活かした楽曲を中井祐子のためにぜひ作って欲しい。この特徴は、なかなか得難い彼女だけの魅力につなげることが出来ると思う。
『ウェディングベル』。個人的にお気に入りの曲である。でも、この曲はステージ上に3人ぽっちじゃちょっと映えないよ〜。『DANCE DANCE DANCE』なんかでもそうだけど、もともと大人数でやる曲を少人数でやってもサマにならないよ。
キャンペーンとかだったら、やむを得ないけど。こんどはレギュラー・バージョンでやってね>朋美ちゃん。
いよいよ『アオザイ五人娘』も終盤。秋山ソロで『夢の旅』。『どうしてかな』のところでも思ったのだが、高音を出すところが、かなりスムースになっている。しかし、今一つ突き抜けた物が無いんだよなあー、秋さんの歌って。
最後は五人全員の『信じられない』。こいつは良かった。
波平槙子のMCが、次の二曲を『最後のキス』『悲しむのはシャクだから』と伝える。
『最後のキス』を歌った寄合歩の後に、ステージに一人きりで立ったのは、なんと西堀真子であった。
どよめく客席。しかし、そのどよめきは、歌が始まると同時に驚きの声へと変わった。
まず、音程が正確に取れている。リズム感もOK。声にパワーがある。しかもそれは、ただ闇雲に声を出している訳ではなくて、ごく自然に歌声に力感を感じさせるモノなのだ。そして子供声ではあるが、声の伸びがとても素晴らしい。
私はいつの間にか彼女の歌う姿に、かつての小野田亜美の姿をダブらせていた。いや、彼女は素質的に小野田より上かも知れない。無論、課題もあるが(後半、張り切りすぎたせいか、音を外し気味であった)、初めてでコレならば、この先がおおいに期待出来る。私にとって、この日のコンサートでの一番の収穫は、この西堀真子のソロであった。
よくやった、西堀真子!。この調子で成長して、いつか意地悪な一期生の先輩(※)をギャフンと言わせてやれ!
「真子ちゃんは、ぎゃーぎゃー言いながらこの曲(『悲しむのは〜』)を練習していました」。と言う遠藤舞香のMCの後、なんとひさかたぶりの『Hellow』の登場だっ!やったあ!こいつはラッキーだぜ!
『涙のセブンティーン』で登場。おおっと、衣装が変わっている!ノースリーブのワンピのサンドレス(中井・ピンク、橋本・水色、秋山・白/茶)。頭には麦わら帽子(橋本はかぶり、中井・秋山はあみだにしている)にポーチ、サンダルと言うイナカっぽいが、なかなかイケてるスタイルだ。
美香ちゃんいわく「大不評だった」以前のアーミールック(私は60年代のGSグループを連想していた)と比べると、断然こっちの方がいい。と言うより、グループのキャラクターを考えると、歴代ではこの衣装が一番ピッタリ来ていると思う(昔の『足もっとみせてぇー!ドレス』も嫌いぢゃないのだが(^^))。
歌詞がちょっと変わっていた。“ユキコ出かけよう”が“トモミ出かけよう”に、そして“彼氏もいっしょでいいかな”が“ツヨシもいっしょで〜”となっていた。う〜ん、“ツヨシ”って、一体誰なのか気になる木になるぅ〜。
橋本 「私、17才の時からこの曲歌っているんだよぉー。でも、気分は17才だから歌っていいの!」
何かハイテンションな美香ちゃん(笑)。そして10月のアルバムに入る新曲が2曲発表された。
『あなたに夢中』は、驚き&待望の中井祐子メインヴォーカルだ。出だしでは“いなたい”が、曲が進んでいくにつれて、いいセンいってるメロディラインを聴かせてくれる。
もう一曲は『恋は不思議』。なんか昔いた『ブカブカ』ってアイドル・グループを連想させる楽しい曲だと思った。
橋本 「(歌詞を)自分で書いていて、少し恥ずかしいー」
中井 「歌っても、恥ずかしいー」
橋本 「(この曲に出てくる女の子は)かんちがいしている恋。お茶目系」
中井 「ストーカー系ですか(笑)」
いえいえ、何をおっしゃいます。こう言うスコーンと抜けた“明るさ”“楽しさ”“可愛らしさ”が今のSKiには必要なのですよ!12月のアルバムが楽しみだ。
それにしても、このコーナーでの中井祐子はハジケていたなぁ。麦わら帽子もとってもお似合いだったし(^^)。
続いてのMCは石澤彩乃。出てくるそうそう「ゴッツで〜す」。客席沸騰(笑)。
おいっ!チミは先週の『ピクニック』で、ファンさんたちに「ゴッツと呼ばないで」と言ったぢゃないかっ!。それなのに自分から言うとは何事だ(笑)!
もう、誰が何と言おうと、チミの呼び名は年齢・性別を問わず、万国共通『ゴッツ』で決定だ!文句は言わさん(^^)。
『天使のアイス』『うちら陽気な海賊娘』と来て『18才』。歌うは伊藤嘉代子。彼女の歌唱は決して上手とは言えない。しかし、彼女の歌声に説得力があるのは、いったい何故なのだろう…。
『初恋のセレナーデ』。この曲は、コーラスアレンジを以前の井上裕紀子時代から大幅に変更している。
そのために楽曲のイメージが大幅に変わってしまっているが、私はこれはこれで魅力を出していると思う。
もっとも、「歌いこなせないから」という理由だけで、安直に楽曲自体を変えてしまうと言うのはやめてほしいものだ。
終盤が近づいてきた。『恋人たちの歌』では寄合歩とLFLじょーたい。素晴らしい(笑)(※2)。次いで『私らしく』。
時間がないので、ほとんど内容をカットした寄合・小田のMCが入り『巡り逢い』。橋本・川野による最後のMC。
そして『黒い瞳』『地球に愛を』。これにて本編は終了。
アンコールは『おはよう!』『傷だらけの青春』。二曲続いて川野朋美がメインヴォーカル。『時の流れに』『いつものように』『Forever Young』そしてラストは『エピローグ』。
帰りの臨時の大垣夜行ではとても疲れたが、行って良かったと思えるコンサートだった。
[編集長/ブルーウェイブ]
(※) かつてステージ上で、Y・M先輩は西堀真子に向けて、ちょっとシャレにならんことをぬかしたのです。
(※2)前号にも書いたが、これは単なる思い込みである。
♯ 文中、敬称略で書かせていただきました。
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