last update:2000/11/23◆ SKi卒業生たちの今 ◆
卒業生通信
◇ 小林久子(三期生) ◇
チーム99/00公演 舞台『みず色の空、そら色の水』
at アイピット目白 2000/ 2/26(SAT)
小林久子ちゃんが、昨年から舞台に立っているという話は聞いていた。あいにく見る機会はなかったのだが、今回、SKiの《卒業式》の前日に目白へ向かった。
公演チラシより
会場は、目白通りから少し入った住宅街の中にある。こんなところに…という意味ではPTAコミティの事務所と同じ印象だ(笑)。
ロビーも狭いし、客席は決して広いとは言えない。SKiのファンさんもけっこう来ていて、満員の盛況ぶり。
内容は、高校の演劇部が夏に合宿をしているというもので、いろいろな出来事を通して部員たちが成長していく。ごく普通の日常を描いてはいるが、そこには人間一人一人のドラマが隠されている。
久子ちゃんの役は目立った特徴があるわけでもない。ただ、父親がヤクザである(爆)。なんと、送られてきたピストルで裏切り者を撃ってしまう。これは迫真の演技だった。SKi時代には想像もつかない表情を見せてくれた。そういえば、《困った!絵美ナース物語》では、なかなか芸達者だったことを思い出す。
絵がとても上手で、絵描きを目指していた久子ちゃん。一体どういうきっかけでこの世界に入ったのだろう。
終演後に楽屋で会ったとき、あの頃と比べとても生き生きとして輝いて見えた。本当に、今が充実しているといった目をしていたのだ。
卒業の時は悲しかったが、こうして活躍している姿を見ると嬉しくなってくる。さらに、当時と可愛さが全くと言っていいほど変わっていない。これは驚きだ。
久子ちゃんには、できあがったばかりのKS3最新号を急遽製本して渡した。私が強く言わなかったら編集長は動かなかったと思うが、やはり渡して良かった。翌日も公演はあったのだが、私たちは《卒業式》があるため残念ながら見ることができない。「卒業式典実行委員」として、仲の良かった内田絵美ちゃんが出演。昨年は、久子ちゃんと揃っていたものだが…。
次回公演もぜひ見たいものである。SKi卒業生の活躍する姿を、こうして直に見ることはほとんどないだけに、今から楽しみだ。
P.S.
内容自体はとても良かったのだが、このシチュエーションは心に少し痛みを伴うものであった。
いや、同じような状況を経験したとかそういうことではない。アイドル好きの人には、同じように感じた人もいらっしゃるかもしれない。だからこそ、未だにアイドルファンであるのかもしれない。
【編集委員■ゆめのしずく】
99年の『卒業式』に、“卒業式実行委員会”としてゲスト出演した小林久子ちゃん。
あの時のMCでの会話は、今でも強く印象に残っている。
美香 「久子ちゃんは、美術系の学校に行くって言ってましたけど、どうですか」。
久子 「やめました・・・・・・・・・・・」。
私はイスからずり落ちそうになった。
言っておくがこれは、そのとき感じた“ズッコケ度”を大げさに表した比喩では無い。本当にずり落ちそうになったのである。
さらに2人の会話は続く。
美香 「では、何をしていきたいですか」。
久子 「ん〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜・・・・・・・」。
彼女はこのままフリーズしてしまった。
美香ちゃんによって強制終了されなければ、あと3分はステージ上の時計は止まったままであったであろう。
「久子ちゃんって、相変わらずだなあ・・・」。と、私は思った。
およそ一年後。2月に入り、『こちら新宿3丁目・2000春号』の編集も佳境に入ってきた頃のことだ。
『こちら新宿3丁目』のHP掲示板に「小林久子ちゃんが今度劇に出演しますので、皆さんぜひ見に来てください」という、今も小林久子ちゃんの応援をしているファンさんからの書き込みがあった。
SKi卒業後、このような形で芸能活動を続けている元メンバーは多い。だが「舞台を見に行こうかな」と気持ちになったのは、不思議と今回が初めてであった。
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物語は、先項にてゆめのしずくさんが書いたように、高校の演劇部の夏期合宿の中での人間ドラマだ。
久子ちゃんは、この演劇部の部員の一人で、この合宿の場所を提供している人の親戚(だったと思う、間違っていたらゴメンなさい)であるいかにも女ったらしの男に、こっそりと“大舞台での役への抜擢”を約束されている設定だ。
ところがこの男が、ひょんなことで別の部員・澄に乗りかえてしまう(なんとその乗り換えられる役を演じたのは、元・SKi一期生の前田厚子こと、木地谷澄さんであった!!)。
それを知った彼女は、男を問いつめる。決してヒステリックに激しく声を上げる訳ではない。低い、怒りを込めた口調でその男を問いつめていくのだ。
男はその怒りの表情に狼狽しながらも、その場を取り繕うとする。「そうだ、何か(演技を)やってみてよ」。澄に掛けたのと、まったく同じ口説き言葉を久子に掛ける。
「マーシャ(合宿で練習している劇中の彼女の役)でいいですか・・・」。怒りを押し殺し、久子は長回しのセリフを喋り始める。
そしてセリフを喋り終えた。と、同時に、久子は隠し持っていたピストルで、愚かな裏切り者を撃った・・・。
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劇が終わり、観客たちが楽屋口の前でこの日の出演者達を激励する。決して広いとは言えない楽屋口前は、立錐の余地もない程の込み具合であった。
この日は『卒業式』の前日ということもあって、毎日のように(!)彼女の舞台を見に来ている久子ファンだけではなく、SKiの“有名客”の皆さんも輪の中にいた(おそらくこの日の出演者の中では、一番観客の輪が大きかったであろう)。「◯◯さん、久しぶり〜!」。久子ちゃんはかつてのファンさんたちとの再会を素直に喜んでいた。
「久子ちゃん、変わったねぇ。本当にしっかりしてきたよ」。常連さんとのおしゃべりが一段落したところで、私はこの日思ったことを彼女に率直にぶつけた。
すると久子ちゃんは 「私、もうすぐ二十歳ですよう」と、微笑みながら答えてくれた。
その表情には、一人の女性としてのとても魅力的な輝きに溢れていた。
“環境が人間を変えていく”という言葉を良く聞く。それは良い意味ではなく、悪い意味にも使われる。
公演パンフより
彼女は良い意味で変わってくれていた。
SKiを卒業してからのおよそ二年の間に、彼女は本当にやりたいことを見つけたのである。
そしてその世界に身を置くことによって様々な事を学び取り、その結果として人間的に成長したのだ。
なんと素晴らしいことなのだろう。考えてみれば、これこそが惚れたアイドルを応援していくことに対しての、一番の醍醐味というか、し甲斐ではないであろうか。
そんな醍醐味を現場で直に味わえる久子ちゃんのファンさんは、本当に幸せだなと思った。
今思うに、あの「やめました・・・」という言葉は、実は「本当に私のやりたいことを見つけたのです」と言う意味だったのですね。
この夜私は、SKiのコンサートを見終わった後の爽快感とは異質の充実感一杯で会場を後にした。
続けることの意義と貴さ、そして人間として成長していくことのすばらしさを、この日の小林久子ちゃんが私に教えてくれたような気がする。
そして、現在制服向上委員会のステージに立っているメンバー達が、この先SKiのステージ立つことにより“演じること”“見せること”の魅力に目覚め、卒業後も、例えメジャーとは言えなくても、このように自分の好きな形でこつこつと芸能活動を続けてくれれば、とても嬉しいことだ。と思う。
P・S
白黒コピーで作られた出演者全員の自己紹介のパンフに、彼女はこう書いていた。
「でも、将来は何になっているんだろう?」
一年前の『卒業式』と変わらない、いかにも久子ちゃんらしい言葉に、不思議と安堵感を覚えた私であった。
P・SのP・S
しずくさんは、この日の彼女のことを「良い意味で変わっていなかった」と評した。
私は「良い意味で変わった」と評した。
とどのつまりは同じことを言っているのだが、この感じ方の違いが「私としずくさんの“アイドルに対して求める物”の根本の違いかな」なんて思ったりする。
【編集長■ブルーウェイブ】
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