■むつらぼしから引っ越してきたコラム■

 アンチ・ラヴリィ構造体 危険


  その3 「アイドル・ファン」

 インターネットという場は、広いようでいて、さして広くないような印象があります。
 自分の見ている範囲が狭いせいもあるけれど、それは、自分の興味の範囲もまた狭いということであるのでしょう。
 ネット上で、アイドルについて書かれたある文に対して、妙に気になったことがあります。が、無断引用は勿論マズいだろうし、察しのいい方にはどこで書かれていた文章かがすぐに分かってしまうかも知れません。
 ということで、以下の書き込みの件は、取り敢えずあくまでフィクション、嘘、仮の話として考えて下さい(^^)。
 さて、その書き込みというのは、このような内容でした。(意味はほぼ同じですが、かなり脚色してニュアンスを変えてあります。)

 「擬似恋愛としてアイドルを見るのはそーとーダサい。アイドルを冷静に客観視出来る方がカッコいいし、それがアイドルファンというものだろう。」

 それを書いた人は、毎日の様にアイドル評を書いて更新している程熱心で、またその中で「表情が…」「スタイルが…」「かわいい…」等を連発しているのですが、それほどアイドルに執着しているのに、『恋愛感情はありません!』と言いきるのは、なーんかね、逆にカッコ悪い気もします。恋愛感情を持っていても、リビドーがあってもいいじゃん、と思います。本当に無いのなら、それはひとそれぞれなんでアレですけれど、なんだか頑なに「ありません!」というのが逆にアヤシいぞ、なぁんて邪推したくなるではありませんか。
 ちなみに私は擬似恋愛派ですよ。そして、リビドーもあります。横道に逸れますが、よく言われる「純粋な愛は…」なあんていう愛情論での「愛とリビドーは別物です」というようなキレイ事はちゃんちゃらおかしいと思っちゃいます。ま、恋愛とリビドーはイコールでは結べない、と考えますが。それぞれの概念に“中心”があるとしたら、それは少しズレているのですが、それでも全体的にはかなり重なりあるところがある、みたいな感じでしょうか(分かりにくいと思います(^^;)。

 しかし、私の周りのアイドルファンの知り合いにも、こういう擬似恋愛は否定する方が大勢を占めているような印象があります。恋愛でもリビドーでも無かったのなら、何故、あなたたちはそんなにアイドルに執着するのですか? と実は問うてみたいのですが(リアクション、面白そうだなぁ!)、それをしたら人間関係が間違い無く壊れてしまうでしょうね(^^;。(それなのに、ネタがないからといって、このことをここのミニコミに書いてしまったりして…。)
 そしてまた、アイドルファンの殆ど(と、言いきってもいいかと思います)が、アイドルと名のつく女の子にならば全方位的に興味を示すことが、、私には全く理解出来ないのです。「一推し!」とか言っている娘がいるクセに、他の娘のイベントにも足繁く通うという行動が、です。だったら、「一推し」ってなんですか? それとも、自分の頭の中で王国を作り、そこのハーレムで女の子を取っ変えひっかえしているような気分なのでしょうか(←なんか、この例え、「寒ゥ〜」ですね。ゴメンなさい。)
 なんだか、節操が無い感じがイヤなんです。
危険  でも、「たかがアイドル。所詮自分とは関係のない、ある種ヴァーチャルな存在なのだから、こっちだって本気に一途になれる訳がない。ましてや恋愛感情なんて」、というところなのでしょうか? それは、正論かも知れません。そして、そう考える方がクールでカッコいい。私のように擬似恋愛してしまうのは、間抜けですよね。そのバカさ加減は重々承知、自覚しています。
 ある時、知り合いと話をしていて、ああいうなんでもかんでもアイドルイベントに行くお客さんのことを批判気味に語っていたら、逆に「でも、あなたも以前は同じような行動をしていたでしょ!?」と指摘されてしまいました。
 目からウロコですよ(^^)。 実にそうなのでした。
 擬似恋愛派に変節(!)する以前は、確かに私もいろいろなアイドルのイベントに通っていました。どうしてそのことを忘れていたのでしょう。健忘症? 消したい記憶? な〜んていうのはどうでもいいです。
 さて、その以前のいわゆる“普通の”アイドルファンとして行動していた時の自分の心境を思い出して見ようと思います。インナー・スペースへの旅です!(大嘘〜)。
 多くのお気に入りのアイドルに対して、確かに「可愛い」とか「好意」という感情を感じてはいました。でも、やはり擬似恋愛というような感情はなかったように思います。
 私が、キャラクター派というよりも、楽曲派だったということもあるかも知れません。「アイドルの歌う歌にもいい曲がある」ことを知り、一般的に言われていた「アイドルソングはB級」という評価に反発し、自分の聴いたことのないアイドルの歌に名曲があるのではないか? と半ば強迫神経的にアイドルの曲を聞いていたことがありました。
 また、好きなアイドルのグラビアやら写真集を集めたりしていましたが、それは(やはり!)リビドーもあるのですが、その一方、自分の完全癖+収集癖による所産だった、と今から見るとそう思います。
 完全癖+収集癖は、CDやビデオ、関係グッズにおいてもそうでしたね。ひとつ漏らさず集めたい、という衝動、です。
 うわぁ、なんか典型的なオタクの行動ですね。
 でも、考えてみると、そのアイドル自体=アイドルの人格が好きだというよりも、そのアイドルが生み出した2次商品が好きだったのかな?
 となると、以前は私も客観性、一歩離れて見ている感じがあった気がしますけれど。どうなんでしょう? ちょっと違うかな。違いますね。
 と、自分の過去の行動を分析してみました。
 ですが、それでもやはり、いわゆるアイドルファンの行動は、理解に苦しむのです。何故かな〜。

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 “アイドル”という言葉の意味の捉え方を、私は間違っているのでしょうか。
危険  元々私は、アイドル・ファンをしていることを、後ろ暗いことだと思っています。決して、アイドルファンである自分を誇りに思う、な〜んてことは露ほどもありません。人には言えないような趣味趣向だと思っています。でも、「いい年をして若い女の子を追いかけるのはカッコ悪い」ということを自覚すること、ある意味謙虚になることは、大切だと思うのです。
 アイドルについて「誰々が好き、でも誰々も好き、だけど誰々は嫌い、誰々は…、」と延々と
ループするように口にするのは、ダサいと私には思えます。知り合いとそういう話をするのは、なかなか楽しいことではありますが。でも、アイドルのことを「なんでもかんでも好きだ」と公言したり、誹謗中傷するようなことを言う資格が果たしてあなたには(私には)あるのですか? と問いたいですね。
 だからといって、ある種アイドルをバカにして韜晦するのも違うでしょう。「アイドルなんて、下らない。でも、その下らないものを下らないと分かっていて“遊ぶ”・“付き合う”自分はカッコいい、かも〜」というようなヤツは(うわぁ、具体的な人物の姿が浮かんじゃったっ。)「逝ってよし!」なのです。
 また、いわゆる「カウンター」という人たちや、やたらアイドルの知識を収集するのが好きな人たちがいますが、あれもなんなのでしょうね? 私は、あれは収集癖による一種のコレクターなのではないかと考えます。切手集めとか、活字中毒とか、映画マニアとかと一緒で、方向性が違うだけでしょう。
 この場合は、やはりアイドルをある意味人間とは捉えず、知識とか記憶自慢のネタでしかないのでしょうね。妙な優越感をあの手の人たちに感じるのですが、それはそれは奇妙な心理状態に見えて仕方ありません。

 そうそう、SKiの客に対して思うことが多いのですが(他のアイドルのイベントへは最近は行っていないので、同様のことがあるのかどうか分かりません)、メンバーのことを生きている人間として考えていないのではないか、と感じることがあります。
 お客さんが、自分の欲望をメンバーに押し付けるだけで、メンバーがどう思うかなどまるで考えていないような行動をとるのです。あーゆーのを見ると、引きます。
 よく、SKiをライト風俗ということがありますが、だからといって(お金を支払っているからといって!?)客のやりたいままに何でもしていい、ということにはならないでしょう。
 お客さんがメンバーになにかをゴウインに要求して、メンバーはそれなりのリアクションをします。それでお客さんは喜ぶことになりますが、それって、お客さんの頭の中でだけの自己満足、自慰行為でしかないのではないでしょうか? お客さん側はメンバーと交流しているつもりなのかも知れませんが、実はメンバーを血の通っているひとりの人格とは扱っておらず、無機質な玩具みたいに自分のヤリたいように扱うだけです。そこには人と人の交流なんてないのではないでしょうか?
危険  もちろん、私だって、メンバーとの間で「人と人との交流」が出来ている、なんて思って(思い上がっている)いる訳ではありません。逆に、そうそう簡単に交流なんて出来ないよ、と考えていて、だからこそ思い上がるようなことなく、相手の事を考えて接するようにしたいと思っているのです。
 掲示板などを読むと、ひとりよがりな思い込み(すでに妄想の域に達していて、笑えません)や、あまりにも自意識過剰な文章が多くて唖然とさせられるのですが、そういう風に受け取る私の捉え方の方が間違っているのでしょうか。それとも、「アイドル村」という土地では、上で言ったような私の考え方は論外で却下なのでしょうか。
 もちろん、どんな心根でアイドルファンをやるか、ということに縛りなんてありません。当然です。というか、私のような考え方の方が絶対に少数派ですよ。
 ま、少数派は少数派なりに、ちょいとした違和感を多数派に感じる訳で、それをここに綴ったに過ぎません。
 以前は私も、今回批判したような考えの持ち主、あるいは同様の行動をしていた訳ですし、それに今でも全く無くなったかどうかは分からないのです。だから、自戒の意味も込めて、書いてみました。

【神奈川県/岡田知巳】



【ぐっでいず】

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 ドイツのDASA社では「まこ(MAKO)」という超音速攻撃練習機を開発中だそうだ。
 2005年に1号機が飛んで、実用化は2010年の予定とか。
 10年後の真子ちゃんは24才…。どんな女性になってるんでしょうねぇ。

【編集委員/ホーカー・テンペスト】


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