■レビュー■

 橋本美香リーダー継続記念レビュー


【21世紀の美香ちゃんへ】

橋本美香
撮影/ブルーウェイブ_

 去る9月24日、こまばエミナースで行われたSKiの『生誕8年祭』で最も注目されたのは、橋本美香ちゃんがリーダーを継続するかどうかということだった。
 今までリーダーが2年以上続いたことはないから、交代するのではないか。いや、彼女の人気と実力からして交代はないだろう。と、ファンの予想は二分されていたのだが、結局は継続ということになった。

 何故そうなったのか。理由はいくつか考えられる。
 まず、美香ちゃん自身がSKiに対して思い入れが深いということである。ニューヨークの教会で歌ったり、ベトナム平和村を訪れたり、福祉作業所で働いている人々と交流するなど、彼女はSKiで普通の女の子では出来ない様々な経験を積んでいる。これらのことは、今後の彼女の人生に大きなプラスとなるであろう。「SKiに入って本当に良かった」という言葉にウソが感じられないのも、そのためだと思う。
 また、美香ちゃん自身が自分の大好きな音楽を仕事に出来て、満足しているということもあるだろう。8月6日の『Hellowの日』における「OLになった同級生に比べれば、私って本当に幸せだと思います」と、いう発言からもそれが分かる。
 スタッフにとっても、美香ちゃんの人気と実力が欠かせないという事情があるだろう。撮影会では彼女の前はいつも人だかりがしているし、ツーショットポラののべ希望人数でも、常にトップ争いをしている。FCイベントでは抜群に反応が良く、ファンの受けがいい。そして何よりもスタッフの意図を理解して忠実に行動してくれるのがいいのだろう。

 しかし、SKiの今後を考えた場合、美香ちゃんに代わってリーダーが勤まるメンバーが育っていないのはやはり問題だと思う。“ポスト橋本”は、9年目に入ったSKiの最大の課題となるだろう。
 それはともかくとして、リーダー継続が決まった以上、ファンとしては今まで以上のことを美香ちゃんに期待したくなってしまう。
 まずは、ソロコンサートをやって欲しいということだ。洋楽のカヴァーライブもいいけど、やはりオリジナル曲のコンサートをやってくれた方がファンとしては嬉しい。今度、ソロアルバムも出るのだから、それをきっかけにしてぜひ実現して欲しい。
 歌については、美香ちゃんらしい個性を伸ばして欲しいと思う。『真夏の祭典』で歌った『あなた』のように、テクニックに走るのではなく、『巡り逢い』や『Good-bye』のように、持ち前の甘く美しい声質を生かした歌を歌った方がいいと思う。
 社会活動についても、スタッフのシナリオに沿ってやるよりは、自ら目的意識を持って取り組んだ方が、より多くの共感を得ることが出来るだろう。来年あたりは、自ら発案したテーマにチャレンジしてみてはどうだろうか。
 「人の真似はつまらない。私は私だから」この言葉を美香ちゃん自身が実行して、他のメンバーに模範を示してほしいのだ。
 色々と注文をつけてしまったけど、これらを21世紀へのテーマとして、今まで以上に頑張ってほしいと思う。
 美香ちゃんなら必ず出来るはずだから。
【編集委員■本間寛】



【私は美香ちゃんを終われない】

 9月公演で美香ちゃんの続投が決まったという。前回はそれなりに嬉しかったのだか、今回は素直に喜べない。
 美香ちゃんがいる限り「新しいSKi」が見えてこないと思っているからだ。
 でも美香ちゃんはSKiで芸能生活を終わらせたいようだ。もちろん本人は何も言っていない。でも気持ちはもう固まっているだろう。

 橋本美香ちゃんというアイドルの存在を改めて考えてみた。そして今、私が見に行っているアイドルたちを考えてみる。
 2000年は久々にソロを出したアイドルのCDをずいぶん買った。一人で歌を歌うアイドルは美香ちゃんだけではないのだ。でも歌唱力、曲の出来、そしてなによりその子の魅力といった点で、美香ちゃんを上回る子はいないと断言していい。美香ちゃんは他のどのアイドルにも負けない魅力を持った女の子なのだ。
 そういう子が制服向上委員会という、あまりにせまい世界にいるのはほんとうにもったいない。私は美香ちゃんにもっと外に出てもらいたいなぁと思っている。いろいろな美香ちゃんをもっともっと見たいと思っているのだ。
 グラビアの美香ちゃんも見たいし、写真集やイメージビデオだってほしい。美香ちゃんのすばらしいスタイルを見るとそういうことを考えたくなるのだ。もちろん歌だって聞きたい。ドラマに出るのもいいかもしれない。
 でも現実はそういった幻想を許してくれない。もし美香ちゃんが外へ出て行ったらイロメガネでみられることはまずまちがいない。歌を歌うことさえ出来ないかもしれない。いや仮に歌えたとしても、それは美香ちゃんが望んでいる歌ではないのだろう。
 そして何より美香ちゃんとお話できる時間なんてほとんどないに違いない。ほんとうに複雑な気分である。

橋本美香
撮影/ホーカー・テンペスト_

 この号が出てからしばらくして美香ちゃんのソロアルバムが出る。ソロアルバムなんてずいぶん久しぶりだ。
 これまでグロリア・エステファンやビートルズなどのナンバーを歌ってきた経験、そしてSKiで歌ってきた経験を生かしたアルバムになることを期待したい。それは美香ちゃんだからこそできることなのだ。
 そしてなにより美香ちゃんに残された時間は少ないと思っている。その間に何ができるのかがこれからの美香ちゃんのテーマになっていくのだろうと思う。
 これから歌っていく歌1曲1曲を大切にして欲しい。美香ちゃんならそれは必ずできると信じている。

【編集委員■ホーカー・テンペスト】



【橋本美香リーダー続投に思う】

 思えば三年前、私は彼女が本田博子に代わり五代目リーダーとなった時に、次のようなことをKS3に書いた。
 「美香ちゃんが持っているもの全てを、後輩達に教えてあげてください」。
 だが、現実はなかなかうまくいっていない。それがこの「やむを得ない選択」という形になって表れたのであろうと思う。

 どうしてこうなってしまっているのか。それは橋本美香より後に入会してきたメンバーが皆、「制服向上委員会としての活動」ということに、自らの全てを掛けられないから。これにつきると思う。
 まず昔と違い、現在のメンバーは芸能人としての意識を持つべき場所が皆無に等しい。メディア露出はおろか、いつも来てくれるファンさんの前以外では、自分が身につけたモノを披露することがほとんど無くなってしまっているからなのだ。 こうなるとどうしても「アイドル・芸能人としてのプライドを持て」といくら言っても、実感として分からないであろう。
 これは単純に、コミティがメディア露出をしようとしないから悪いのだとは言えない。
 どこの芸能事務所もコネクションがないと、なかなか大手メデイアへの露出が出来ないのは、やむを得ない事実なのだ。

 話は代わって、演劇の世界に目を向けてみると『劇団四季』のような大手だけではなく、星の数ほどの小劇団がある。それらは皆、劇団員の手弁当に近い形で運営されている。
 『東京ヴォードビルショー』の佐藤B作や『劇団★新感線』の古田新太も、劇団を起こした当時は、まったく客が入らず苦労した。が、「自分たちのやっている芝居は絶対面白い」「いつかは世に受け入れられる」という信念を持って活動を続け、その結果、今日の地位を築いたのだ。これらの劇団で活動していた団員は、ほとんど皆、芸能界では無名と言っていい俳優ばかりだ。しかし彼らは皆、「自分のやっていることは、必ず認められる」という自信と信念を持って舞台に立っていたのである。

 さて、大変失礼なことを書くが、同じく芸能界で無名な者ばかりが集うSKiメンバーの中に、果たして今、自分がやっていることに対しての自信と信念を持っている者が、そして、自らはSKiで何をやりたいのかを、自分の言葉で説明できる者が何人いるのであろうか。
 現状を冷徹に見渡す限り私は、はなはだ残念な回答しか返ってこない気がしてならない。

 このように、まずプロの芸能人としての実感を得る場所がなく、その上自分たちのやっていることに対して、自信と信念を持てない。故にメンバーたちは自らの全てを掛けることが出来ない。
 制服向上委員会が閉塞状況にあるのは、ひとえにこいつが原因なのである。

 では、この閉塞状況を打破するためには、一体どうしたら良いのであろうか。
 私は世間一般で言う“オジサン世代”に入ってしまっている。だから現在のティーン、ましてや女の子の考え方というものを100%理解することは出来ない。そんな私があえて言うが、現在も、そしてこれからも「可愛いもの」、そして「凛としたもの」への女の子の憧れは、必ずあると思うのだ。
 それが証拠に、三浦・波平・遠藤・西堀といった同じ組み合わせで歌う曲なのに『えりマキと影ブルーっす』と『LOVE×2』とでは、歌っている四人の表情が明らかに違うように思う。きっとそれは私だけではないはずだ。
 制服向上委員会は、この「可愛らしさ」「凛としたもの」を徹底して突き詰めていくべきなのだ。
 それこそが、メンバーたちに自らの活動への自信と誇りを持たせ、これからの制服向上委員会の将来に道筋を付けるための王道なのではないかと思う。
 そしてこのことを地道に続けていくことにより、必ず新たなファンを掴んでいくことが出来ると思う。
 だって、他にやっている所はないのだから。

 さて、皆さんはカー・ガイという言葉をご存じだろうか。これは簡単にいってしまうと「自動車野郎」である。
 クルマ好きで、レース好きで、なおかつクールなビジネスマンといった、自動車への情熱と、商売への冷徹さを併せ持った自動車業界の指導者。こういった人たちをを尊敬の気持ちを込めて、カー・ガイと人は呼ぶ。
 「日産自動車が不振に陥り外資の資本下に入ったのは、会社にカー・ガイがいなかったためだ」と自動車評論家の徳大寺有恒氏は語っている。
 好きな者が心を込めてモノを作り、同時にビジネスとしても成功させる。現在はそういう時代なのだ。

 ライブ・アイドルの界のいわば「アイドル野郎」は、アルテミスの野間真氏がそれに当たると思う。
 それに対してSKiのキーパーソンである高橋廣行氏は、長年音楽業界に身を置き、酸いも甘いもかみ分けてきたであろう、いわゆる「ロック野郎」である。が、残念なことに「アイドル野郎」ではない。
 私は出来ることならば、橋本美香にその役目を担って欲しいと思う。そう、橋本美香に「PTAコミティの“アイドル野郎”」になって欲しいと思うのだ。
 幸いにしてアルバム『No MAKE!』のプロデュースを担当することによって、その資質はあることは分かった。
 彼女なら、音楽的、振り付け的にアップ・ツー・デイトなモノを、抵抗無く取り入れることは可能であろう。
 何よりも自らが、そして後輩達がやりたいモノを。同時にファンさんたちが望むモノを、誰よりも理解できる所にいるのだから、自らの才覚でこれからの制服向上委員会を導いていって欲しい。
 そうなればこの先、きっと橋本美香の後を継ごうとする者、制服向上委員会の看板を自らしょって立とうとする者が必ず現れてくれると思うのだ。
 そう、今、橋本美香がすべきことは、制服向上委員会を、メンバーにとって、そして見る者にとって、普遍的、なおかつ魅力的なものに変えていくこと。このことだけなのである。

 全てを橋本美香に託すしかない。もうこれしかないであろう。
 それが出来ないのならば・・・。
【編集長■ブルーウェイブ】

 余録
 「芸術は経済のドレイじゃない!」確かに正論だ。
 だが現在では「芸術と経済は両立出来る」ではないと、もうダメなのだ。
 そして「芸術をビジネスに使うイコール、悪」という、ガキっぽい単純な言い訳を持ち出すのは、金輪際ゴメン被りたいモノである。
 これだけではなく、数々のガキっぽい言い訳がどれだけSKiのイメージダウンに貢献しているのか、果たして彼らは理解しているのであろうか。



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