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にゃ〜にゃ〜 ◆ニューアルバムレビュー◆

 制服向上委員会26thアルバム
  〜世の中見えて来た!〜まぁまぁ


 ‘世の中見えてきた’って、今ごろ見えてきたの?そんなはずないでしょ!

 「まぁ まぁ」の歌詞を見てみる。これが「いつか見た夢」と同じ人によるものとは、とても思えない。どうやら現代日本のかかえる矛盾を、コミカルに表現してみせるというコンセプトのようだ。かつての制服向上委員会や寿隊には、そういった点で実にセンスの良い楽曲が存在したと思うのだが…。
 仮に、制服向上委員会自体も“お茶番”だと言うのであれば、黙って道化を演じられる者こそが正しいファンのあり方なのか。
 「何でみんな ルールを守らないの」「どうして何で 戦争をやめないの」(※1)。空虚さが心にしみる。
 アルバムタイトルにするぐらいだから、制作側としてはかなりの自信を持っておられることだろう。複数の意味を重ねて煙に巻くという手法も大変素晴らしい。むろん、ここで述べたようなことぐらいは織り込み済であるに違いない。

 この、タイトル曲がある意味突出していることを除けば、全体になかなかバランス良く仕上がっている。特に感じたのは、コーラスの扱いである。前作までと比べて、全体に抑え目である点が好ましい。かつて「Photograph」に関して本誌で苦言を呈したことがあるが、ヴォーカルとのバランスで目立ちすぎず、むしろ隠し味的な効果も見られる。
 おそらく、必ずしも賛同ではない意見も出てくるだろう。ただ、私としては歌っているメンバーの魅力を十二分に引き出して欲しいのである。

 最後に気になる点を一つ。ヴォーカルが歪みっぽいことだ。特に真冬ちゃんの「いえない気持ち」で顕著である。これでは、メンバーの努力が台無しになってしまう。制作側は本当に気づいていないのだろうか。音楽に携わる人なら言われるまでもないこと。聴き手の美的感覚を甘く見てはいけない。

【編集委員◆ゆめのしずく】



星川りりか
2005年1月《新年のごあいさつ》
撮影/ゆめのしずく_

 今回のこのアルバムは良い作品だと思う。いい意味での方向転換がなされている。ここ数年のSKiのアルバムを「楽曲の完成度」「楽曲の方向性」など真正面から論じるのは、かなり厳しいものがあった。コンサートでよく歌う曲の寄せ集めであったり、メンバーが理解しているとは到底思えないテーマが掲げられていたり。個々の曲にはいいものがあっても、アルバムとしては苦しい。そもそもコンセプトなんてのは無限に沸いて出てくるものじゃない。だったら、割り切って「今のSKiを一番魅力的に見せること」だけを考えて作ればいい。この作品は今のSKi&SKiを取り巻く関係者たちのカラーがよく表れている秀作。
 絶対的価値のある名曲は過去のものだけで沢山。欲しいのは、その時の現役メンバーの魅力が発揮されている作品、そして、「各メンバーが、自身の個性をいかに磨き、大成させるか」という成長のプロセスを見守る楽しみ。それがあれば十分なのではないだろうか。片平妃奈子ちゃんの「魔法が使えたら…」は、その良い例だと思う。

追記:「I LOVE YOU」「ひとりぼっち」の星川りりかちゃんの歌唱は必聴。しなやかで甘い歌声が満喫できます。コンサートだと少し力が入りすぎている感がありますが、CDではその魅力が存分に発揮されていて、これだけで買う価値ありです。

【元ORANGE IDOL レア島】



●おすすめの1曲=『Volunteer Spirit』

 恋愛ソングが多かった、このアルバム。全体としては評価できるものの、アルバムタイトルは「まぁまぁ」ではなく、「VolunteerSpirit」の方がふさわしかったのではないかと思う。あたし的には気に入った曲が6曲程度にとどまり、「まぁまぁ」の出来映え。次回作に期待したい。

1.Volunteer Spirit {Vo:橋本・松尾}
 災害時、ひとりではどうにもできないことがある。そんな時、生活の支えとなるのが“ボランティア”だ。あたしも、芦屋市内のとある公民館で食事を配ったり、高齢者の話し相手などをしたことがある。募金だけなら誰でも出来るが、いざボランティア活動となると…。人に対する思いやりを忘れたら、真のボランティアとは言えない。
 この曲は橋本美香ちゃんと松尾真冬ちゃんの“黄金デュエット”によって歌われているけど、メンバー全員でこそ歌ってほしいものだ。

5.いつか見た夢 {Vo:河野}
 本当の幸せって何だろう、と考えたことがある。普通の人にとっての幸せとは「嫁さんをもらって、子供が出来て、夫婦円満に過ごすこと」だろう。でも、あたしの場合は「FCイベントに参加して、メンバーとコミュニケーションを取ること」なのだ。

にゃ〜にゃ〜 6.まぁまぁ
 リズミカルな曲調で良い曲だと予感させられたが、歌詞が今ひとつで、曲自体が「まぁまぁ」という感じ。4分7秒が長く感じてしまった(苦笑)。

8.ひとりぼっち {Vo:星川}
 橋本美香ちゃん作詞のこの曲。出だしはフォークソングだと思わせといて、実はアップテンポ。あたしにとって、星川りりかちゃんが歌ってる曲を聴くのは今回が初めてだけど、歌声から「声優か?」と勘違いしてしまった(^_-)。可愛い曲系は、今後も是非りりかちゃんに歌ってもらいたい。

10.戦慄の愛 {Vo:橋本}
 アルバム中、唯一の橋本美香ソロナンバー。美香ちゃんの“天使の歌声”に心が癒されるものの、曲調がかなり重苦しい。コンサートで頻繁に歌われる曲では無さそうだ。

【編集顧問◆みのる】



 今回は文字通りの新曲が多く、コンサートでのイメージが定着している曲が少ないので、正直言って書くのに苦労した。今後コンサートで何回か見れば、曲の評価は大きく変わる可能性もあることをお断りしておきたい。

Volunteer Spirit
 曲調からすれば、コンサートでファンが盛り上がれるような効果を狙った曲のように思える。でも、「やる気ない人が 無理にしても きっと誰か 傷つくだけ」(※2)という部分は考えさせられた。自分がよかれと思ってしたことが人に悪く受け取られてしまうことは実社会でもよくあることだ。ボランティアも意外と難しいものなのかも知れない。

魔法が使えたら…
 片平妃奈子ちゃんの作詞ということで、大いに注目した曲だ。恋する女の子の揺れ動く気持ちがうまく表現されているところはよい。あえて言わせてもらえば、主人公は魔法を使って何をしたかったのだろう。その辺のところをもう少しうまく表現してほしかった。次回作にも大いに期待したい。

松尾真冬
2004年9月 晴海《浴衣 DE 撮影会》
撮影/ゆめのしずく_

いえない気持ち
 真冬ちゃんの年代に相応しい女の子の素直な気持ちが伝わってきて、聴いていて誰にでもわかるところがよい。今後作詞を続けていけばいっそう進歩して、偉大なる美香センパイのような素晴らしい詞が書けるようになる日も来るだろう。今から楽しみだ。

もう一度ふたりで…
 この曲の主人公は、初恋を忘れることができない女の子ということになるわけだ。となると、「初恋にサヨウナラ」の主人公とは対照的で、そう考えると面白い。梢ちゃんにもこんな初恋があったのかなと想像してしまった。補作に秋山文香ちゃんの名前が入っているのが懐かしい。

ひとりぼっち
 “ひとりぼっち”というと孤独で寂しいイメージがあるが、1人の時間というのも楽しいものだ。1人で行動することによって個人が確立するし自主性も生まれる。誰か相手がいないと何もできないのでは、逆にあまりにも寂しい人生になってしまうのではないかと思う。そう考えると、この曲の考え方には共感できる。

いつか見た夢
 この曲は気に入った。派手さはないが、自分も他人も大切にしようという詞の内容と伶奈ちゃんの優しいヴォーカルが見事に溶け合っている。変に押し付けがましいメッセージソングよりは、こういう曲の方に共感を覚えるのは私だけだろうか。

にゃ〜にゃ〜 まぁ まぁ
 この「まぁ まぁ」というのは、「まあいいじゃないか」とかそんなニュアンスのように思えるのだけど、どうでしょう。でも、なんか逆玉の長ったらしいコメントが歌になってしまったような感じがしないでもない。ちょっと違和感を覚えてしまう。

「I LOVE YOU」と「戦慄の愛」は理解できない。「あいうえお」は何とも言い様がない。従って、この3曲についてはノーコメント。

【編集委員◆本間 寛】



にゃ〜にゃ〜  今回のアルバムには“遊び”を感じさせる部分が多い。
 今や、SKiファミリーみんなのアイドルとなった、かれんちゃんによる曲紹介や、メンバーの幼い頃&かれんちゃんの載ったジャケ写。『あいうえお』での「言葉遊び」もそうだ。
 今回、高Pの訴えたいメッセージは「まぁまぁ」と緩めだ。その緩さがこの遊び心を生み出したのであろう。
 送り手側が作品を作り上げるということを楽しみ、受け手側はその気持ちに共感し、より楽しむという好ましい関係が、このアルバムではうまくいったのではないかと思う。

 片平妃奈子の初作詞曲『魔法が使えたら…』では、彼女の「語彙の豊富さ」に感心した。
 フレーズをちょっと詰め込みすぎたきらいがするのがいかにもひなっちらしいが、ちゃんとまとめている。「魔法が使えたら」というキャッチも効果的に入っているし、なんといっても類型的な詞でないのがいい。PANTA氏も気合いを入れて曲をつくってくれたことが聴いていて分かる。
 『いつか見た夢』は、もう、卑怯そのもの。あ、誉め言葉ですよ(笑)。ちょっと宗教がかったような歌詞は好き嫌いが分かれそうだが、この曲を聴くに当たってはそんな野暮なことを考えず、伶奈さんの包み込むような歌声に身も心も任せるのが正解だろう。
 『あいうえお』での「言葉遊び」では、私はかつて日本の音楽シーンにおいてPANTA氏が主張し、先鞭を付けた「日本語によるロックンロール」の歴史をなんとなく感じてしまった。橋本・河野・片平。三人ともに品良く、可愛らしく歌っているのであるが、その歌い方にそれぞれ個性があって楽しめるのがいい。
 この三曲に加えて、詞・曲・歌唱のバランスが高いレベルでバランスされ、星川りりかの可愛らしさがグッと凝縮された名曲『I LOVE YOU』がこのアルバムのお勧め。

 恒例の隠しトラックは『風に吹かれて』。
 制服向上委員会と、それをとりまく小宇宙は、この先も「風の向くまま」に歩いていくのであろうか。
 それは誰にも分からない。
 分からないからこそ、歩くしかないのである。
【編集委員◆やまのむぎふみ】

鯨
 歌詞引用部分について
  ※1 「まぁまぁ」制服向上委員会 作詞/龍之進 作曲/PANTA
  ※2 「Volunteer Spirit」制服向上委員会 作詞/鈴之助 作曲/橋本美香
  以上、制服向上委員会26thCDアルバム『〜世の中見えて来た!〜まぁまぁ』に収録



  ぐっでいず  ☆KS3のまめちしき 〜原稿書きのスピード〜

ダントツで速いのは、本間寛氏。ホーカー・テンペスト氏と、元・編集委員の竹ちゃんは、普通。
遅いのは、ゆめのしずく氏、やまのむぎふみ、そして、しろくま☆しゃしょう氏。
[編集委員◆やまのむぎふみ]


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