last update:1999/01/26

特集
四期生・五期生たちの、真夏の二日間
 台風4号をのりこえて!
 8/29・30 2Daysレポート


 8月29日 『3時間特大ライブ』 (16:00〜) 


BY ブルーウェイブ(大阪府)

 私BWは、29日の『3時間特大ライブ』についてレポートする。
 私にとって、この翌日の『スーパージャム』『真夏の祭典』を含めた、SKi真夏の3連戦の中では、この『3時間特大ライブ』が一番楽しく見ることが出来た。それは従来のSKiの良さを最大に活かしたコンサート全体の構成と、メンバーが、それに応えるステージングを、十二分に見せてくれたからである。
 まずは、秋山・川野・寄合による『恋をしようよ』で、私たちをお出迎え。最初は『制服ファッションショー・コンサート』として、ピュアな少女たちの日常を、歌と芝居で紹介していくと言う趣向だ。
 井上裕紀子が歌う『天国の場所』。髪をおろしたゆっきいの清澄な歌声が響き渡るその後ろで、三浦・遠藤の二人が絡む。『夏の思い出』では、夕暮れの中幼いあの日に戻ったかのように虫取り網を持ってじゃれあう、SKi史上初の“盛夏服”姿の小田・久川。そして波平・遠藤。そのシーンは、まさに“美しい”のひとことであった。
 そうなんですよ。こういうのを見たいんですよ、『制服向上委員会』のファンさんたちは。
 うれしい誤算と言うのか、思いも寄らぬスタッフの趣向に、私はカウンターパンチを食らったような衝撃を受けたようであった。こんなマネが某解散・三流キャバクラ制服グループに出来るかってんだ。
 続いて『五期生春夏コレクション』。「いい人が多いんですよー」と本田博子が言う、五期生六人(当時の正メンバー)の“春組”と“夏組”に別れての、バトルトーク&歌のコーナーである。
 ここでの司会は久保愛。『春の思い出』を久保愛に聞かれた、秋山文香ちゃんいわく「去年の春は花粉症で、目がかゆくなって困った」「つくしつみをして、採ったつくしを、おひたしにして食べた」。花粉症になったのは気の毒だなと思いつつ、つくしを食べたというのは、さすが秋山文香だな、と妙に納得。
 久川由美子は『毎年恒例・探しましょう、四つ葉のクローバー!』『カエルさんおめでとう!冬眠からお目覚めよ』と銘打って、春になると、友達とみんなで四つ葉のクローバーを探している話なんかをしてくれたのだが、これについて久保愛がひとこと「由美子ちゃんの思い出には、(毎回)タイトルがあるんですか?」。確かに、そんなに大げさに、ぶちあげるようなことでもないような気がする(笑)…。
 続いて夏組。よって『夏の思い出』についてトーク。小野聖美は「やっと身長が150センチになりました」「服のままで海に飛び込んだことがある」「この夏、母親と2人でラスベガスに行って来た」など、色々と楽しい話をしてくれた。
 そして遠藤舞香は「入会してまだひと月目で、今日が初コンサートなんです」「水泳教室に行って、真っ黒に日焼けしてしまい、母親を驚かせた」「宿題をやっていないので、9月1日の朝、早起きしてやる」という話。この時私は、彼女を見ていて「初めてステージに立つ割には、なかなかうまくやってるなあ」と思ったのだが、それは間もなくして驚愕に変わった。
 波平槙子は「両親の実家は沖縄で、以前は夏に帰省していたが今は全然帰っていない」「プール開きの掃除の時に転んで頭を打ち保健室へ行ったら、みんなから「掃除をさぼった」と言われた」などの話をしてくれた。
 しかし、このコーナーで一番笑ったのは、遠藤舞香が、お盆の送り火でやけどをしてしまったという話題の時に、久保愛が送り火の意味を知らず、小田さおりに教えてもらった(しかも、完璧に説明できていた!)ことだった。本田博子も「いつも、さおりちゃんにはツッコマれているんですよー」などと言っていたくらいだから、本当にしっかりしている娘だよな、小田さおりは。(単に本田・久保が抜けてるだけだったりして(笑))。
 バトルトークの後は、五期生対抗の歌合戦。先発は春組・小田さおり。夏組・波平槙子。
 小田が歌うは『シンガー』。歌声が以前よりも出ているし、振り付けがかなりキッチリしている。
何となく、往年のアイドル・田中陽子(※)を連想してしまった。声質はいい。
 波平は『Uhoo Uhoo Uhoo』。正直言って今一つ。まだまだ練習が必要だ。歌っている時の表情の作り方は合格。
 「ソロで歌うのは、今日が初めてだったんですよ」と言う波平槙子には「袖で見ていて“可愛い”と思ったんですよ」と。小田さおりには「『シンガー』を、ひとりで歌うつらさは私にもわかるんですよ。一人で歌う曲じゃないから」とコメントをした久保愛。さすがは先輩。いいアドバイスだ。
 続いては、春組・久川由美子。夏組・小野聖美。
 こんどは夏組先攻で、小野『16才』。これも感心できなかった。声は出ているが、音程のコントロールが出来ていない。ちょっとぶっきらぼうで、語尾を大切に歌っていない点が気になった。
 久川は『約束』。これはうまくいった。もう少し声量が欲しいし、ささやくようにして歌うこの曲自体に助けられた感もあるが、音程もかなり取れてきたし、5月の時から比べると大分進歩している。「(ステージ)の上で倒れそうで、全然ダメでした」と言ったが、そんなことないぞ。
 もっと声が出て、押し出しが強くなってきたら、魅力が増してくるはず。それと、何回も同じことを言うようだが、もう少し歌うときの表情を大切にしてほしい。
 ソロ対決最後は、春組・秋山文香。夏組・遠藤舞香。
 再び春組からで、秋山『LAST SONG』。サビの部分を力強く歌う点はいいけど、最初から最後まで同じような調子で歌わず、少しは曲全体にメリハリをつけてくれよ、と私は思う。
 この際だから私の意見を書いておく。本当に、秋山文香に旧ミッシェル系のナンバーは合うのか?と。
 この辺をKS3の本間寛氏に聞いてみるとと、「今のSKiでは、秋山しかミッシェルのナンバーは歌えないからなあ…」と言う。果たして、これで良いのであろうか。ま、彼女に対してはチト厳しいことを言うが、それだけのモノを期待されているのだから。五期生の中では一番成長しているメンバーの一人には違いないのだから…。
 そして遠藤『未熟な時間』。例の“戦隊物調”のイントロがかかってきたとき、「これ、結構難しい曲よ。イケるのか?」と思ったが、これが驚いた。声が少しフラットしているのと、いわゆるカラオケっぽい歌い方になっているのが気にはなったが、初めてにしては十分イケるのだ。
「うまいじゃない!」と遠藤に言った久保愛。私も同じように思った。
 しかしこれはあくまで“最初としては”だ。ここから一気に飛び抜けることが出来るかどうかは、彼女の気持ち一つだ。ぜひがんばってほしい。
 そして団体戦。夏組は『恋したい』。春組は『恋はハイウェイドライブ』。
 夏組は、3人のコーラスで歌うと、思ったよりはイケるなと思った。春組は、こういう“勢い”がキモの曲を歌わせると、秋山文香はやはりうまいなあと感じた。
 会場の拍手で勝敗を決定。僅差で(?)、春組の勝ちとなった。
 ここでちょっと疲れたため、客席を離れて1階ロビーでちょっと一休み。
 アンバサウオーターを飲みながらソファーに腰掛けると、グッズ売り場に立っている中野社長と、ファンさんたちとの会話が耳に入ってきた。「6時からあと3時間。9時頃終演…」。
 私は、あわてて中野社長の元に駆け寄った。

  BW 「中野さん、今から3時間もやるんですか!?」。
  中野 「そうよ。『3時間特大ライブ』は、6時から始まるのよ」。事も無げに言う中野社長。

「ウッソーッ!い、今から3時間なのっ!」。私はその場で、へたりこんでしまった…。

 休憩の後、本田博子のカウントダウンで『ノンストップ・ライブ』がスタート。
 “3時間耐久レース”の一曲目は、当然『プロローグ』。続いての『制服宣言』のメインヴォーカルは、なんと三浦恵里子!「わはははー、竹ちゃん、これを見られなくて残念だったねぇー」。と、ちょっぴり優越感にひたりつつ、センターに立つえりりんの姿を見る。
 三浦恵里子は夏期講習があったと言うこともあってか、この三連戦では、フロントとしての出番が意外となかった。だが、ソロで歌った旧篠原智子系の『恋するふたり』や『新・恋のインビテーション』などを無難にこなしていた。彼女に関しては、とりあえず安心して見ていられる。
 『清く正しく美しく』『笑顔がスキっ!』『おはよう!』…と、SKiおなじみのナンバーが続いていく。寄合歩は、この日フロントとしてかなりの曲に登場。また彼女のために作られた新曲『疑問』も披露し、新境地を開いていた。だが、この日の彼女の出来は良くなかった。振り付けの間違いがかなり多く、見ていて「ちょっと…」。と感じてしまった。フロントメンバーとしての、あまりに多くの要求をこなせなかったのか。それとも、プレッシャーに負けてしまったのか。
 『○でない少女の×な生活』では、ヴォーカルを取る3人の後ろで他のメンバー全員が、一列に並んで交互に『○』と『×』を出して、殴り殴られながら行進(?)していくのだが、これが見ていて実に面白い。なぜなら、これら一人一人の表情に、各人のキャラクターが出ているからなのだ。特に、川野・三浦・秋山あたりは、ぜひ気をつけて表情を見てほしいと思う(小野聖美も良かったのに…)。
 『ダイエット号に乗って』のフロントは、寄合・川野・伊藤・三浦の四期生カルテットだ。
 うーん、実に素晴らしい!見ていてもう、ぞくぞくしちゃいましたね。
 なんと言っても、この2日間のステージで、一番印象が良かったのは伊藤嘉代子である。
 まず、振り付け・歌唱ともに、5月の時点から比べると格段に良くなっている。そして、ステージ上で実に良い表情を見せるようになった。そして何よりも、SKi内における、自分の立拠点を確立しつつあるのが、はっきりと見てとれるようになったからである。秋山文香や久川由美子のように、ファンさんたちに対して社交的で、明るい性格を持ったメンバーが増えたきた中で、彼女らとは逆に、すこしおとなしく、言葉は悪いが“いじりやすい”彼女のキャラクターが、相対的に確立されてきたからであろうと思う。
 そんな訳で、「この夏で一番良かったのは誰か?」と聞かれたのならば、躊躇することなく「伊藤嘉代子」と私は答える。彼女にはこの調子で活躍してほしいなと思う。
 井上裕紀子『So Light』の後、センターに川野朋美が立った。『テスト』のイントロが流れる。
 ここ最近の川野朋美は、ステージ上における表情がとても固くなっている。フロント・メンバーとして背負っている、グループ全体の責任を全身で受けていると言う様子で、それは正直見ていて痛々しいぐらいだ。この姿を見て、あるファンさんからは「次のリーダーは、川野朋美じゃないか?」と言う意見も出ていたくらいなのだから、こいつは相当なモノである。
 私は、そっと後ろを振り返り、最後部の席に並んで座る2人の娘の表情を伺った。
 かつて『SKi-T』で川野の前に立っていた、小林久子、そして、内田絵美の表情を…。
 私は不安だった。「久子は一体どういう心情で、この『テスト』を見ているのだろう…」と。
 ぱち‥ぱち‥ぱち‥。
 歌が終わったと同時に、本当にうれしそうな表情でゆっくりと、そして大きな拍手をしている小林久子の姿が私の眼に入ってきた瞬間、私は何とも言えないような感動を覚えた。
 私は思った。「小林久子と内田絵美は卒業した今でも、制服向上委員会とその後輩たちに対して、深い愛情を持っているのだ」と。
 川野朋美は、そんな先輩たちの『制服向上委員会』に対する深い愛情に応えていかなければならない。
 そして私は、彼女ならばきっと出来ると信じる。

 『De'light』『シャララ』はサビの部分の歌い方を少々変えている。これも新しいSKiの方向性を表わす一端なのか?
 この辺から『letter』『初恋にサヨウナラ』(井上)『恋は甘く切ない』『じゃあ〜まあ〜いいかっ!』(橋本)『若き知恵を讃えた天使の歌』『マスターヨーロッパ』(本田)とベテラン勢の歌が続く。
 現時点でもまだ、彼女らベテランと、四気生・五期生との開きは大きい。来春までには、これらのヴォーカルを、四期生・五期生に置き換えることは、はたして出来るのであろうか?チト不安だ。
 ここからは、おおよその曲順を列記。『少年よ大志を抱け』『恋人たちの歌』『同世代の少女たちへ』『うたかたの夢』『(旧)恋のインビテーション』『ダンシングセブンティーン』『涙のエンブレム』『傷だらけの青春』『渚に消えた初恋』『DANCE DANCE DANCE』『口笛』『時の流れに』…。
 新曲が2曲ほど披露された。SKiお得意(?)の、カネとコネで動くギョーカイを皮肉った歌なのだが、率直に言って全く感心しなかった。こう言うテーマの曲を出すのはまあ良い。だが、『シンガー』のようなウイットがまったく無い曲で、まるで「私たちが売れないのは、現在の音楽業界の仕組みが悪いのよー!」と叫んでいるかのような、聴くものを引かしてしまうような曲である。他のファンさんたちに聞いても、評判は芳しくなかった。作り手側は、もう少し考えてもらいたいと思う。
 1日目のコンサートは無事に終わった。メンバーたちとの明日の再会を心に誓って、会場を後にする。
 水道橋駅近くの天狗で、この日の舞台のことについて、話に花が咲いたのは言うまでもない。


※田中陽子=90年にホリプロからデビューした、徳島県出身のアイドル。
      現在では引退してイベンターをやっているらしい。

♯このレポートでは、歌われた曲目を一部省略して書いております。
 そのため、実際のステージの曲順とは若干違いますので、ご了承ください。



むつらぼしトップページ98/10号目次

Copyright (c) 1998-1999 Mutsuraboshi-Club