last update:1999/01/05  
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SKi 13th ALBUM 『黒い瞳』全曲レビュー


1.少年少女6.素直な良い子
2.18才7.天使のアイス
3.恋するふたり8.Air Mail
4.TESS9.さよならへの旅立ち
5.キャンパスのある街  10.イルミネーション


 少年少女

 ユニット集『大人はわかってくれない』に収録されなかったミッシェルのナンバーである『少年少女』。
 ヴォーカルは川野朋美ちゃんの担当ですが、「本田博子ちゃんに歌わせたらよかったのに」と思ったのは、あたしだけだろうか(苦笑)。
 それと囁いているのは美香ちゃんかな? ボソボソとしゃべっているので、かえって無かったほうが良かったかも知れない。
 もう一度コンサートで聞いてみたいと思うんだけど無理かな?
[副編集長/みのる]

 おなじみミッシェルの曲も、朋美ちゃんが歌うとこんなにかわいくなってしまいました(笑)。
 声質のせいもあろうが、平版になってしまって“聴かせどころ”がないように思えるのは私だけだろうか?なので、個人的には「可もなく不可もなく」というところ…。
 所々で出てくる“耳元でささやくようなセリフ”は、聞き取るのが非常に難しい(夜に聴くと恐い!?)のが残念。普通に発音した方が良かったように思える。
 歌詞に目を移すと、『恐いものなんてないように見えるけど/孤独がつらいのよ そばにいてね』と、最近の少年少女の特徴的な行動が書かれている。服装にしても行動にしても、持ち物にしても、みんな「右へならえ!」式な、“個性のない”若者が多いのは、何とも嘆かわしいことだとつくづく思う(←ちょっと、おじさんモード)。もちろん、SKiのみんなは、そんな風になっちゃぁダメだよ(^^;。
[論説委員/しろくま☆しゃしょう]

 旧ミッシェル系のナンバーは、他のアイドル・グループには、決してマネの出来ないような佳曲ぞろいである。
 だが、歌声に陰影を出せるヴォーカリストでないと、これらの楽曲の持ち味は半分も出せない。
 今回は、そんなファクターとは正反対の歌唱センスを持つ川野朋美がヴォーカルを取っている。これはこれで悪くはないとは思う。
 でもやっぱりもう一度だけ、正統派のヴォーカルで『ミッシェル』ナンバーを聞きたいなぁ。
[編集長代理/ブルーウェイブ]

 18才

 こいつは、本田博子がステージを去ったとき、封印されて然るべき楽曲だ。決して他の娘には歌ってほしくない。
 本田博子以外の娘がこの楽曲を歌っても、それは『18才』では無いと思う。私は、それくらいこの曲を歌う本田博子の姿に痺れている。
 [昨日や明日を言い訳に しないでただ今を生きる]
 本田博子が、SKi在籍の四年間に培ってきたすべての力を出し切ったような、このサビのフレーズを、初めてステージで聴いた瞬間、私は震えるような衝撃を感じた。
 その姿の、実に凛々しかったこと!
 可愛らしさ・素人っぽさ第一のメンバー構成のおかげで、今では、もう望むべきもない制服向上委員会の最大の魅力であった“凛々しさ”が、久保愛と並ぶ最後の二期生、本田博子の身体の中に脈脈と流れていたことを、私は認識した。この凛々しさは永遠に引き継がれなくてはならないと思う。ライブ・アイドルグループ『制服向上委員会』の姿が、ステージにある限りは!
[編集長代理/ブルーウェイブ]

 『17才』に続く続編と、一部のファンの間で噂になったこのナンバー。聴く前にはバラードソングだと思っていた予想は大ハズレである(苦笑)。
 でも、一回聞いただけで、涙が出てきたのはなぜなんだろう? 理由は分からないが、泣かずに一曲を完全に聴くまでに、しばらく時間がかかると思っているのは、あたしだけだろうか?
[副編集長/みのる]

 P会報で「最後の私のソロ曲です」と言っていた博子ちゃん。まだ卒業が決まったわけではない(98年11月現在)が、彼女もファン(私も末席に入れるだろうか)も、もう覚悟は出来ているように思う。
 そうしたことから考えると、この曲は複雑な気持ちで聴くこととなる。決してうまいわけではないけど、一生懸命やってモノにする。みんなは、彼女のその“ひたむきさ”に魅かれていく。それが博子ちゃん。この曲も、いかにも“らしい”歌だなと思っている。
 「私に会いたくなったら聴いてくださいね」と言う博子ちゃん。いなくなった時、この歌を聴いたらどんな気持ちになるだろうか。
[東京都/ホーカー・テンペスト]
《註・この原稿は、98年11月に書かれたものです》

 恋するふたり

 ついに、えりりんボーカルの曲がCDに収録されました。 私はこの日(10月1日)をどれだけ心待ちにしていたか。(ちなみにこの日、大阪中を探しまくって、やっと購入)。
 三浦恵里子の声質には、かつてのメンバーである吉成圭子や、篠原智子とよく似たフィールが感じられる。『笑顔が好きだから』『天使のアイス』など、吉成&篠原ナンバーの中で、特にかわいらしさを表現する曲が引き継がれることが多いということを考えても、どうしてもこの三人を重ね合わせてしまう。曲というのは、やはり歌い手を選ぶということが、この曲で実感できる。
 肝心の内容は、三浦恵里子がP会報(VOL・30)で書いていた通り、とてもリズミカルで明るい曲です。
 それに加えて聴く側を、前奏の“学校のチャイムを思わせる音”からわくわくさせてくれるので、個人的には大好きな曲である。おそらくこのアルバムの中では一番多く聴いているかもしれない。
 歌詞から見ても、思いきりラブラブな曲であるが、聴いている私までなんだか幸せな気分になってくる。一昔前の私なら到底考えられなかったことだが(昔は結構ひねくれていたので…)、SKiファンになってからはそれが覆されている。
 歌詞にある『世界中のどんな辛いことでさえ ふたりならきっと幸せ』なんて恋ができたらいいなぁと思う、今日この頃です。
[論説委員/○ちゃん]

 96年8月24日の日比谷野外音楽堂『アイドル・サマー・カーニバル'96』。しの[篠原智子]がソロ扱いで出演し、この曲を初めて歌った。『小さな生命』『うたかたの夢』に続く3番目のオリジナル曲である。
 ラテン風のリズムに乗り、間奏では頭や腰をたたいてリズムを取る。しのの人気とともに、代表曲の一つとなった。SKiにおいて“アイドル”を最も強く感じさせるナンバーの一つであろう。
 今年の夏からは、恵里子ちゃんが引き継いでいる。ステージでは、声がしのに似ていて驚いたが、CDで聴いてみるとそれほどでもない。…とはいいつつ『天使のアイス』とともに、かわいらしい感じがとてもよく似合っている。「かわいらしさを自然に出せるところ」が、彼女の最大の魅力だ。
 ただ、こうした曲だけでなく、落ち着いた曲調にも挑戦してみると、幅が広がると思う。
[論説委員/ゆめのしずく]

 TESS

 率直に言って私は、これまで秋山文香の歌唱というもの 何あろう、私がこのアルバム『黒い瞳』で一番驚かされたのが、この『TESS』である。
を、ほとんど買っていなかった。
 例えるのならば“ブレーキなんかかけないで、どこまでもアクセル全開!”的な、シャウトしっぱなしの歌唱は「いかにも文香らしいな」とは思わせるものの、SKiの楽曲を歌うのに求められる“優美さ”に欠け、ステージを見ていて「これではネェ…」と思うことがしょっちゅうであった。
 だが、この曲ではそんなイメージを裏切る“優美さ”を垣間見せてくれた。各フレーズの語尾の切り方がまだ荒いが、やればできるのだ。
 このアルバムでは、新世代メンバーとして、秋山の他に川野朋美・三浦恵里子の三人がヴォーカルを担当しているのだが、じっくり聞き込めば、三人の中では秋山文香のヴォーカルが、一番音程が安定していることが分かる。
 私の経験からすると、秋山文香はまだまだ伸びる可能性と、魅力が一杯になっていく未知数の才能を、その歌唱の中に秘めていると判断する。これからのSKiの歌唱的な部分は、この秋山文香という娘にかかっていると私は思う。
 頼むぞ、アヤカ!
[編集長代理/ブルーウェイブ]

 この曲って、幼なじみの恋人のことを歌ったものなんだろうか。
 幼なじみっていうのはいいものだ。私も小学校の入学式の時に、横に座っていた女の子のことが、今でも忘れられない。ずいぶん前に結婚して、今では母親になっているそうだけど。
 幼なじみの恋ってのは、メルヘンチックなものだけど、大人の恋は、そうはいかない。この曲で歌われていることっていうのは、その辺のギャップなのかもしれない。
 中・高校生の頃ってのは、女の子の方が成長が早いらしい。この曲の主人公の女の子も、大人になり切れない幼なじみのボーイフレンドにいら立ち、ついに別れを決意することになったんじゃないかと思う。
 私なりに勝手に解釈を加えて見たのだけど、作詞したKAOさんは、どんな思いでこの詞を書いたのかな?
 KAOさん自身も、実際にこんな気持ちになったことがあるのかな?
[論説委員/本間寛]

 キャンパスのある街

 私は、小学生の時に音楽の先生から「歌というのは、ただ声を出して歌うものではなく、心(つまり“気持ち”)を込めて歌うもの」と言われたことがある。
 この曲を聴いて、十数年前に言われたこの言葉を実感した。なぜなら、本田博子のボーカルから“心がこもっている”と言うのが伝わってくるのを感じることが出来るからである。ただ声を出して歌うのならば誰にでも出来る。しかし、気持ちを込めて歌うことは、よほどの努力がないと到底できないことである。それを奇麗に歌いこなしている面から見ても、私自身かなり評価している。
 本田博子の声質というのは、高音部が特に強調されていて、なんだか透き通っているので、聴いていて気持ちが良い。特に、この曲はどちらかと言うと“大人っぽさ”を出している曲なのに、“かわいらしさ”(“女の子っぽい”とも言える)を感じるので、私は結構好きです。
 それと最後に「私は高卒だから、二度とできないー。エ〜ン(泣)」
[論説委員/○ちゃん]

 博子ちゃんにしては珍しい“センチメンタル”な失恋ソング。「こういうのも歌えるんだなぁ」と、妙に感動してしまった。
 大学の英文科に在籍していることもあって、英語の歌詞にも意欲的に挑戦しているのはエライが、最後に「uh uh uh…」「ru ru ru…」 とかでごまかしているのは「やっぱり本田博子だなあ」と思う(ゴメン)。
 読者の方にも大学生の方が大勢いらっしゃるだろうけど、高卒の私にとって、大学とは「イマイチ分かりにくいところ」の印象がどうしてもぬぐえない。せっかく苦労して入ったからには、ちゃんと勉強して卒業してくださいね。
 では、最後に問題。『大学』を、英語で何と言うでしょうか?<博子ちゃん
[論説委員/しろくま☆しゃしょう]
 (正解は、Universityか、Collegeだよ)

 なんとなく、ナンノさん(南野陽子)の初期(←古いなぁ)の曲調を思い起こさせる。折り目正しい印象のメロディの中に、大人へと変わっていく過程の中で見せる、大人になり切れないかわいらしさが良い。
 このアルバム。こう言うところまでを押さえるとは、さすが「アイドルの原点」と言うだけのことはある。
 私は、この楽曲の“かわいらしいヴォーカル”の中に、一抹の寂しさを覚えた。そして、その“寂しさ”は、私たちが現実的に意識せざるを得ない“結末”を連想させたのである。
 そして、それは12月の初旬、現実のものとなった…。
Good-by My Sweet Memorys…
[編集長代理/ブルーウェイブ]

 素直な良い子

 この曲は、あの吉田未来の置き土産だったのですね。
 私は『黒い瞳』の歌詞カードを見て、初めてこの曲が奥山みか&吉田未来の、初期一期生の黄金コンビの手によるものだと知った。{「そんなことも知らなかったのかよ」と言う声が外野から聞こえてきそうだが、知らなかったのだから仕方がない(苦笑)}。
 『新しい酒を古い皮袋に入れる』ということわざがあるが、長い月日をへて復活した“古い皮袋”ナンバーを、SKiを今まさにしょって立とうとしている“新しい酒”川野朋美というメンバーが歌う。これがSKiの『いつものように』コンセプトなんだなあと、しみじみ思った。
 聞いた話であるが、川野朋美は、美容院では細かい注文をしないという。いつも「この長さで切ってください」としか美容師に言わないそうだ。
 私が、このエピソードを聞いたとき「いかにも、朋美ちゃんらしいな」と感じたものだが、それが川野朋美の“ほがらかで、あけすけな歌唱”という特徴になっていると思う。 それが川野朋美最大の魅力なのであるが、それと同時に“心の奥の中にある陰”を歌唱において、私たちに見せていってくれることを、これからの彼女に望みたい。
 それを見せてくれた瞬間こそが、川野朋美が名実ともにSKiをしょって立つことができた瞬間ではないかと、私は思うのです。
 彼女が『キャンパスのある街』を歌うことができたのならば!
[編集長代理/ブルーウェイブ]

 この曲に関して驚いたことが二つある。まず一つは、作詞が奥山みかで、作曲が吉田未来だったこと。もう一つが元々はミッシェルの曲だったことである。どう見ても“フランスの男の子”のイメージとは思えない。
 てっきり四期生で歌っていたので、四期生の曲だと思っていたのですが…。
 聴いてみると、まず思い出すのがNHKの“みんなのうた”である。そして「本当に“みんなのうた”で採用すればいいのに…」と、思ったりもする時がある。
 さて、ボーカルの川野朋美ですが、さすが四期生きってのエースだけのことはあります。どれをとっても川野朋美の実力がうまく表現されていると思う。
 私の勝手な想像では、この曲は結構歌いやすそうで、実は結構難しいのでは…、と思ったりする。だから、いくら実力の高い川野朋美でも、レコーディングで何回も何回も録り直したのではないかと考えている。出来映えとしては「いい出来だった」と言えます。
 自称“素直な良い子”の○ちゃんでした。
(歌詞で[東の空から朝日がのぼる]の“ひがし”が“ひがち”に聞こえるのは、気のせいだろうか…)
[論説委員/○ちゃん]

 天使のアイス

 唐突だが、私はアイスが好きだ!(どうでもいいことだが、他に洋菓子ならプリン、和菓子なら京都名物生八つ橋が好き)だからという訳ではないが、この曲は歌詞が特にいい味出していると思う。そして、ボーカルに三浦恵里子を選んだのは、大正解と言ったところでしょう。
 内容的には、歌詞から振り付けまで全てが“女の子っぽい”の一言につきるぐらいかわいくまとまっている。
 歌詞に出てくる『ヴァニラ(“バニラ”ではないのですね)』や『ミント』など、いかにも甘い感じがするのも、私にとってはすごく魅力的である。ここまで全てが素晴らしいと、なんだかうれしくなってきたりもする。
 ここまで何もかも評価すると、「○ちゃんは、三浦恵里子ファンだからな〜」と言われそうだが、もちろんそれも含まれる。でも、私が一番評価しているのは、何回かステージで歌っている曲とはいえ、三浦恵里子の頑張りがこのCDを通じて伝わってくる点である。そして、彼女のかわいく甘い歌声と、この曲がかなりマッチしている点も、良いところと言える。
[論説委員/○ちゃん]

 今回のアルバムは喜べない。しの[篠原智子]のナンバーを、他のメンバーが歌ってCD化されちゃうのはやっぱり許せない。「あてつけ」以外の何物でもない。
 私は生きている限り、しのをひきずっていくことだろう。こんなことをされたら、なおさらである。もちろん、しのだけでなく卒業したメンバーも…。
 恵里子ちゃんのファンって、しのから流れている人が多いと聞く。そのせいか、恵里子ちゃんがしののナンバーを歌うことに抵抗感はないようだ。恵里子ちゃんが歌う姿を見たいと言う気持ちは私も同じで、本来なら抵抗感などないはずだ。
 でも、私はそうはいかなかった。恵里子ちゃんの声はしのによく似てるから、どうしてもしのを思い出してしまう。
 『天使のアイス』は、しの用にカスタマイズされた曲だから、どうも恵里子ちゃんには合わない。せめて、歌詞ぐらいは変えられなかったのだろうか?そうすれば“恵里子バージョン”として割り切れるのに…。
 九月のコンサートで『君だけの道』を歌った恵里子ちゃん。SKiの“かわいい部分”を、これからは彼女が引き継ぐことになりそうだ。でも、四期生にはみんなオリジナル曲があるのに、恵里子ちゃんだけにだけない(98年10月現在)のは悲しすぎる。
 オリジナル曲を歌う恵里子ちゃん…。そうすれば、私の見る目も変わっていくと思う。
[東京都/ホーカー・テンペスト]

 Air Mail

 河合奈保子『夏のヒロイン』(←これまた古い)や、水野あおい『夏の恋人』と同じ部類に入る、SKiとしては極めて珍しい“夏らしさ、明るさ全開”のナンバーである。
 あらゆるイメージのアイドル・ソングに挑戦しようとした、かつての“篠原智子”の名残りが、ここに感じられる。
 しかし、音的になんとなく“いなたい”感じがする。もっと軽やかにアレンジを仕上げて欲しかった。まあ、それがいかにもSKiなんだけど。
 それと、高音がクリアーに出せるのならばこの曲、三浦恵里子あたりに歌ってほしいんだけどナァー。難しいだろうなあ。
[編集長代理/ブルーウェイブ]

 美香ちゃんは、本当に歌のうまい子だなと思う。
 どんな曲であっても、きちんと歌いこなしてしまう。それはセンスもあるのだろうが、美香ちゃんが常に「自分の歌として吸収しよう」という気持ちを持って歌っているからなんだろう。
 『Air Mail』は、しの[篠原智子]のナンバーの中でも、私の大好きな曲の一つ。すべてにおいて明るくて“守ってあげたい”タイプのしのが大きく見える歌だった。これを継いだ美香ちゃんは、元々明るいキャラクターだし常に前向きだから、この歌のコンセプトにピッタリ。コンサートで聴いてても、それほど違和感を感じさせなかった。
 でも、これがCD化されちゃうと抵抗感が強い。しのの声ではとうとうCD化されなかったから…(泣)。
 今までの経緯から、やっぱりしのを思い出してしまってつらくなってしまう。美香ちゃんだから、そう言うことは言いたくないけどね…。
[東京都/ホーカー・テンペスト]

 『篠原智子バースディ・コンサート』(97年3月9日)のアンコールで初披露。ソロ活動を始めて、最初に発表されたオリジナル曲がこれである。
 一年のうちに何度か歌う機会はあったが、地味な存在であったかもしれない。どうしても、『小さな生命』や『うたかたの夢』の印象が大きいからだ。
 ここでは美香ちゃんが歌っている。例えば、『恋は甘くせつない』などと比べて力強い歌唱。歌詞にもあるが、太陽の光が降りそそぐ、夏の日差しを思わせるような光景がイメージ出来る声である。
 『3時間特大ライブ』の時は、本田博子ちゃん、久保愛ちゃん、井上裕紀子ちゃんを含めた4人で歌っていたが、ソロの方が曲の性格を明確に出せるようだ。
 『恋をしようよ』とはちょっと違ったカラーで、夏を感じさせてくれる。これだけかわいい歌詞を書けるKAOさんにも、拍手を贈りたい。
[論説委員/ゆめのしずく]


 さよならへの旅立ち

 この曲も『TESS』同様、“別れ”を歌ったものだけど、『TESS』の主人公よりは、もう少し大人のような気がする。
 ヴォーカルの秋山文香は高二だから、内容的にはちょっと背伸びしているようだけど、歌声や表情は大人びていて、普段のお茶目で楽しい彼女とは、ひと味違う。こういう二面性のあるところが、彼女の魅力じゃないかと思う。
 この曲で難しいのは、最後の高音の部分だろう。彼女は『悪魔のPTA』では、裏声をうまく使って高音を出しているけど、この曲ではそれも使えず、ちょっとぎごちない感じがする。
 しかし、歌いこなしていくうちにうまくっていくだろうから、この曲は、彼女の成長を見る“リトマス試験紙”の役割を果たすと思う。
 ところでふと思ったんだけど、この曲って、制服で歌う曲じゃないよね。
 黒のドレスの方がいいんじゃないかな。それとこの曲は、斉藤美緒子にも歌わせたかったな、と…。
[論説委員/本間寛]

 さわやかに聴ける、前向きな歌詞の「失恋ソング」。
 本人もP会報で書いているように、高音域の“伸び”があと一歩なのが惜しい。(彼女なりに努力はしている)。 メロディラインがとてもグッドで、アップテンポのサウンドがとてもカッコいい。4分03秒。個人的には、もう少し曲が長いほうがうれしいけど。

 『少女以上、大人未満』。
 高校二年生(17歳)という微妙な年頃の文香ちゃんも、いつかは「最後の朝に にじんだインク」「あなたがくれたこのリング」みたいな、“熱い恋愛”をする日が訪れるのでしょうね…。

 さて、P会報掲載の『レコーディング日記』に「私は、食べて片づけただけです」と書いてあったけど、文香ちゃんの彼氏になりたい人は、“料理ができること”が、絶対条件なのかな???

 お気に入りの曲が、また一曲増えました。
 (編集長代理に感謝…)
[論説委員/しろくま☆しゃしょう]


 イルミネーション

 アルバム『黒い瞳』のラスト・ナンバーである『イルミネーション』は、アップテンポで軽やかなメロディである。
 KAO先生の詞から、作詞に関しての相当の素質を秘めていると考えているのはあたしだけかな(苦笑)。
 『黒い瞳』のラストナンバーにふさわしい曲に違いない。
[副編集長/みのる]

 最近では下火になっていますが、一昔前は12月が近くなると、アイドルによるクリスマス・ソングのラッシュが起こったものです。そんな一連のクリスマス・ソングと比べてみても、この曲はなかなかの佳曲と言えます。
 この曲は、アイドル・ソングの王道と言える『楽しい』『夢がある』といった、基本がキチンと出来ているのです。
 何といっても、KAO先生の手による歌詞が絶妙です。[レッスンの帰り道][2つ目の駅まで]というフレーズで、SKiのメンバーがこの曲の主人公であることを暗示している点なんか、実に憎いですね(いやまあ、実際に彼氏がいると言ってるんじゃないですよ(笑))。
 このような、SKiを知らない人たちへ胸を張ってお勧めできる佳曲が、『黒い瞳』のトリを飾ることを私は素直に喜びたい。そして、このような“ファンの心根を押さえた”きちんとした曲を出し続けていく気概がある限りは、『制服向上委員会』は、どういう形であろうと、これからも生き続けることができるだろうなと思うのです。
 しかし『鼻くそMAN〜』のような、どうしょうもない曲を堂々と出すかと思えば、返す刀で、このような佳曲を出して来るのだから、SKiって本当に不思議な集団だよナァー。
[編集長代理/ブルーウェイブ]

 実はこの『イルミネーション』と言う曲については、ほとんど記憶がない。曲を聴く限りでは、本当にかわいい曲であると思う。
 私はこの曲を聴きながら「クリスマスの日に街を歩いていて、あらゆる家からは笑い声が聞こえ、窓越しから見るとパーティーで、みんな楽しそうにしている。なんだかほのぼのしていて、こっちまで楽しくなってくる。すると、ちらほら雪が降ってきて、夜空を見ると鈴の音が聞こえ、クリスマスプレゼントを袋にいっぱい詰めて、サンタクロースがソリに乗ってやってくる。そして、みんなにプレゼントを配っていった後には、一面は真っ白な銀世界(ホワイトクリスマス)…」と言うのを想像した。
 これから毎年クリスマスの日には、この「イルミネーション」を聴くことになるだろう。
 『イルミネーション』。意味としては、「たくさんの電球・ガス灯などの光で、建物などを飾ること」と辞書に書いてあるが、私はこう考えたい。
「たくさんのメンバーの持つ最大の魅力で、SKiというグループを輝かせていく」と。
[論説委員/○ちゃん]




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